2013年1月16日水曜日

岩倉政城『指しゃぶりにはわけがある 子育てと健康シリーズ14』大月書店、2001年。


2歳になる息子の指しゃぶりがひどいので、一体どんなことなのだろうと調べるために読んでみた一冊。著者の岩倉氏は経歴から見たら歯科医っぽいのだけれども、本著の内容は歯科衛生だけでなく心理学や生理学にも触れており非常に面白い。
指しゃぶりは基本的に放っておいていいものであるけれども、指をしゃぶることが快刺激となる背景に気を配る必要がある。指をしゃぶることそれ自体は乳幼児にとって心地のいい行為のため、それ以上に快となる刺激、具体的には親子(本著は一貫して「母子」となっていたが、意味するところは親子だろう)とのふれあいの質や量に影響されるものだと思われる。
応用行動分析的な介入にも触れており、オペラント消去の考え方や逆のオペラント飽和化にも触れており、子どもの心理とあわせて説明されているので非常にわかりやすいものだった。
人との関係の基盤となる「信頼」や「共感」が指しゃぶりにも影響しているようで、人間関係というのは複雑怪奇でありながらも、深めていく過程は非常にシンプルであるようにも感じた一冊でした。