2022年5月8日日曜日

吉野俊幸『あなたの知らない あなたの強み ー宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる』日系BPマーケティング、2020年。

  何かの媒体で紹介されていたのを目にして、本屋さんに行ったら平積みになっていたので、思わず手にとった一冊。正直、FFS理論が何なのかよく知らずに手にとった書籍でした。

 広告だったか立ち読みだったか記憶は曖昧ですが、「自己分析と人間関係を円滑にする」といったようなことを学べそうだったことに、私の好きな「宇宙兄弟」がモチーフになっていたのが購入の引き金になった、というのが一番事実に近いと思う。世には性格分析やリーダー論が多数紹介されており、どれを読んでも「なるほど」と思うところはあるものの、どこか自分の人間関係に当てはめる(行動に反映させる)ことに抵抗があるものも少なくない。それは「自分が心地よくなるための環境作り」に終始していると感じてしまいがちなことと、なんとなく「上から目線」感(○○すればいい、してみればいい、みたいな感覚。著者が実際そう思っているかどうかは不明)を受け取ってしまっていたからだと思う。もう少し違った角度から人間関係を考える視点を期待して手に取った、ということがあった。

 こうした背景の下で期待した内容の一冊でした。人間関係において、目の前の事象を自分が「どう捉えるか」ということは結構大事で、自分の気分を調整するために必要な視点ですが、本書はそれは踏まえつつも「相手を理解する」ためのヒントや、具体的な行動が満載の内容でした。相手のタイプを大まかに捉えて、行動を評価するための視点と、自己理解を深めて得られた特性とを掛け合わせて、人間関係とチームビルディング双方に役立つ知見が満載の一冊です。おそらく学術的な知見が基になっているのでしょうが、『宇宙兄弟』のキャラクターを通じて、大変とっつきやすい内容でまとめられています。

 ちなみにIyokiyehaは「シャロン型」で受容性が高いとの結果でした。「いい人病」にならないよう相手が反応することを信じる姿勢を磨き上げていくことが、自分の個性を活かすことになるとのこと。なるほどねぇ、と思うところと、あぁそうなのか、と思うところと、深さと広さが見える説明でした。