2022年5月8日日曜日

ポール・ギャリコ著、矢川澄子訳『雪のひとひら』新潮文庫、2008年。

  ちょっと遠い友人が、Facebookで紹介していたので手に取った一冊。「SNOWFLAKE」を「(雪の)ひとひら」と訳すあたり、本当に言葉の美しさを感じるお話でした。

 解説っぽい文書を読むと、「女性の一生を描いた物語」といった内容が目立ちます。たしかに「雪のひとひら」は女性人格を伴ったキャラクターなので、できごとを社会的な背景とすればそのようにも読めます。しかしながら、本書は小説なので分析的ではなく、単純に楽しむ読書にしました。

 おそらく元々の英語表現が秀でているのでしょうが、矢川氏の日本語(訳)が素晴らしい、と思える表現が満載です。訳書ながら文学作品のような日本語の美しさに手軽に触れられる一冊です。繰り返し読みたい本ですね。