2021年6月26日土曜日

中西貴之著、宮坂昌之監『今だから知りたいワクチンの科学 -効果とリスクを正しく判断するために』技術評論社、2021年。

  「ヴォイニッチの科学書」のサイエンスコミュニケーター中西貴之氏が、タイムリーな話題に科学の視点から一石投じた一般書。今世の中が求めるべき情報は、わかりやすくて信頼のある行政や公的研究機関の報告だけでなく、こうした長年の蓄積に裏打ちされた信頼できる民間人による一般向けの科学情報、なのだと思う。

 とかく、「科学の話題」というと専門家がきちんと(中にはイマイチなものもあるけれど)説明するものだけれども、その言葉は専門外の人にとって理解しやすいものであるかどうか、という点は疑問がある。かといって、テレビやラジオなどタイムリーなメディアで毎日基礎情報をやるわけにはいかないし、かといってWebの情報は選び取るのが難しい、というのが現状かと思います。

 著者は一貫して「ワクチンを積極的に摂取すべきもの」として、その理由を科学の視点から一般向けにわかりやすい説明をしている。その現時点のまとめが本著である。中学生~高校生レベルの生物学、化学の知識を基に、ワクチン接種を控えた私たちに必要な情報をきちんと説明してくれている。ワクチンは怖いものではないし、デマに踊らされることはない。しくみを知って、きちんと判断するための材料が満載です。これを読んで、接種する/しない、保留をきちんと選択すればいいと思います。