2021年3月17日水曜日

精神患者6割転院できず 毎日新聞 210303

 毎日新聞 2021年3月3日23面(総合・社会)

「精神患者6割転院できず 『対応困難』で敬遠、死亡例も」


日本精神科病院協会(日精協)は、新型コロナウイルスの感染が確認された患者 1012人のうち、6割以上が、コロナ治療のための転院ができなかったとする調査 を発表しました。転院ができなかった理由として、精神疾患の患者対応は難しい とのイメージから一般病院が受け入れを拒否する傾向があることを指摘しています。


https://mainichi.jp/articles/20210303/ddm/012/040/092000c


ただでさえコロナ治療を理由とした転院は難しいのに、その上精神疾患まで…と いうイメージなのでしょう。実際のところ、いろんな人がいるわけですから、この6割の中には「適切な治療が受けられるのに、受けられない人」が含まれているものと推察されます。「クラスターを抱えながら籠城を余儀なくされている精神科病院が増えている」というのが、厳しい現状を突き付けているように思いました。

新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点があるから明るみに出たことのようにも感じます。要は、普段から精神障害者の入院に関して、いわゆる「一般病棟 (≠精神科)」での受け入れが難しい現実を目の当たりにします。「二度と連れてこないでくれ」とか言われる場面に出くわすこともあります。その人が何を やったか知ることも知らないこともあるわけで、ただわがまま言って暴れたならやむを得ないけれども、障害の症状として出た行動を否定するということは、医 療の本旨からは外れるんじゃないかとも思うわけです。もちろん、病院だって一事業所であり、その人の対応によって他の人の対応がおろそかになってしまうとかいう事情があるならば、ある程度そのかかわりを制限することはやむをえないと思うのだけれども、そうではない「ただ対応が大変だから」という理由で受け入れ拒否するというのには、やはり違和感があります。もちろん、患者さんは患者さんで、医学的に理由がある指示には従う必要はありますよ。

医療現場の逼迫、どこも大変忙しい、というのはよくわかります。ただ、それとこれとはちょっと別に考えなきゃいけないんじゃないかな、人の健康、そして生死にかかわることだから。