2019年12月22日日曜日

デイヴ・アスブリー『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』ダイヤモンド社、2018年。

「ハッカー」(バイオハッカー)hack ~をたたき切る、切り開いて進む、勝手に引き出す、改変する
・前著『食事法』の時に感じたうさんくささ(ので、読書を中断してしまった経緯がある)が、かなり薄れている内容であると感じた。
・生活をエビデンスベースで見直すということにおいては共通した内容だが、「健康や高い生産性を維持できる状態」を目的として、生活全般の理想的なあり方について、最新の知見と著者の経験から論じている。
・身の回りにあって、普段自分の身体に取り入れているほとんどすべてのものが、人の身体に(あまり良くない)影響を与えている。
・本書の特徴は、この点についていわゆる「身体にいい影響があるもの」を理想的に説明するだけでなく(そういう箇所がもあるが)、身体の仕組みから説き起こした上で「よりダメージの少ないもの」や「より(悪い)影響が少なくなる生活習慣」について、生活上のちょっとした工夫のようなものを併せて紹介点・説明しているところであるといえる。
・そして、食べることだけでなく、睡眠や生活習慣、特に身体を動かすことの効用については丁寧に論じている。
・希少、高額、入手困難なものがまだまだ多いのも事実で、理想・非現実的と言われる内容かもしれないが、その中でも普通の人が取り組めるいくつかの具体的な提案が示されているのは、冒頭の「うさんくささ」を軽減するのに一役買っているといえるだろう。

■以下引用
27.(疲労の定義)ミトコンドリアが過度な要求を受けているという最初の兆候が「疲労」である。
30.(3つのF)永遠につづく種をデザインするとしたら、ただ3つの基本的な能力がを組み込むことが必要になる。(中略)Fear(恐れる:持ち前の「闘争・逃走反応」を使って、環境に存在する恐ろしいものに対処する)、Feed(養う:食物からエネルギーを得る)、そしてもう一つのF※※※(生殖のこと!)。僕らの体は、世界から降りかかってくるどんな状況下でも生き延びられるよう進化してきた。僕らのシステムはその理屈にしたがって、細胞にエネルギーを分配する。(中略)ラブラドール脳(「爬虫類脳」という生存のための低次元のプロセスを司る脳とは別の機能を指す)は種を生き延びさせ繁殖させるための本能--前述した3つのF--を司る。この脳はよかれと思って動いている。あなたを生存させようとしているだけだ。だがここで問題なのは、生き延びるためのまさにその衝動が、脳エネルギーの大問題を引き起こしかねないことだ。(中略)僕らの体が「本物の脅威」と「脅威と考えられるもの」とを区別できないことだ。(中略)あらゆる刺激に同じように反応してしまう。
129.(炎症)・「慢性の炎症」を抱えているとき、体の中で最初に悩まされる部分は脳である。・「炎症を起こしたミトコンドリア」はエネルギー生成の効率が低かする。なぜなら電子が、同じ場所に辿り着くにも、より長い距離を動かざるをえないからだ。
138.(ポリフェノールと脂肪)しかし、ポリフェノールは、一部の例外を除いては、人体に簡単に吸収されないのだ。ポリフェノールの大多数は、人体が使えるようにするにはささやかな助けが必要だ。そして、その最善の方法は、僕の一番好みの主要栄養素、脂肪と一緒に摂取することだ。(コーヒー、チョコレート、ブルーベリー、ざくろ、ぶどう(実と皮))
163.(ケトン体)ミトコンドリアがケトン体をえさとして使って、アデノシン三リン酸(ATP)を生成しているときが、ケトーシスの状態にあるときだ。(略)ケトン体を代謝しているとき、グルコースを代謝しているときよりも心臓は28%多くエネルギーを得ている。(MCTオイルまたは炭水化物制限)
173.(良い食べ物)(ポリフェノール。炎症を低減する。吸収には脂肪が必要。神経伝達物質を作るために、牛肉、アーモンド、卵、ラム、天然物もののサケががよい。低糖の果物と、野菜、グラスフェッドバター、魚)
261.(呼吸)呼吸は、意識的にも無意識にも自然に行える唯一の行為であり、他に類のない生物学的機能である。(中略)体内の酸素量を増やす唯一の方法は、短い時間、酸素の摂取を制限すること(高地トレーニング、息を吐き切ること、吐ききって腕立て伏せをする、インターバルトレーニング、など)
290.(運動の効能)運動は体型を良くするのみならず、環境に適したミトコンドリアの生存を促しもする。(中略)定期的な運動はうつとこ闘いにおいて少なくとも抗うつ薬と同じくらい強力である