2019年8月16日金曜日

水谷修『増補改訂版 さらば哀しみのドラッグ』高文研、1998年(初版)、2014年(改訂)。

・夜回り先生によるドラッグ(薬物)の入門書。ドラッグの危険を、依存性と脳への影響という軸で評価し、一般書としてまとめている。薬物依存者への対応についても、類型化して整理している。
・専門機関による介入で対応できる可能性があるのか、それとも介入できる可能性は低いのか、あるいは精神科医療の範疇なのか、これらの段階について、著者によるある程度の基準が示されている。
・少なくともこれまでは、そして読了した今でも、薬物は自分が使用する可能性はないもの、である。どこか、自分とは関係ないものとしてとらえているところはある。しかしながら、身近なところにあって、それを乱用している人がいることも事実である。決して、自分とは関係ない世界の出来事ではなく、すぐそばにある危険であることを改めて感じさせられた。
・ドラッグなんてなくなればいいのに。知れば知るほど、怒りしかわいてこない。

(引用からのまとめ)
11 薬物依存から脱するための3つの方法(本頁ほか)
(1)自分の力で覚醒剤を絶つこと。
(2)専門家、専門病院、自助グループの力を借りて、覚醒剤を絶つこと。
(3)このまま使い続けて、警察のお世話になるか、死に至るか。
他に方法はない。しかし、水谷氏であっても(1)で覚醒剤から脱することができた人はいないと断言している。また、(2)で可能性のある「精神病院」への入院、(3)の「警察のお世話」は、「運のいい場合」である。
12
・ドラッグは、頭も心もからだも、がんじがらめに捕らえるもの。頭で乱用を止めようとしても、心がドラッグを欲します。また、心から乱用を止めようとしても、からだがドラッグを欲します。これが本当の怖さ。
・身体だけでなく、頭までこわしていくもの。そして、心もこわして、人との関係を次々と絶っていくものがドラッグである。
・脱法ハーブは人体実験でしかなく、その成果(結果)はだれかをこわすためのもの。