2009年5月24日日曜日

杉山登志郎『発達障害の子どもたち』講談社現代新書(1922)、2007年。

なぜか(といっては失礼かもしれないが)、ベストセラー棚で最近見かける書籍。
発達障害に関して、全般的な内容が豊富な事例とともに語られており、入門書としても次の一冊としても、とても参考になる。
「発達障害は治るのか」という問いと、「よくある質問」などとして、偏見で時々語られることに、事例から応えていく内容となっている。
治療の最前線だけでなく、治療によってその予後がどうなっていくか、という視点で発達障害が描かれるのは、新しい視点だと思う。

仕事でもう一度「発達障害」を学びなおす必要を感じ、とりあえず手に取った本。
参考文献を漁るハブとして読み始めた、というのが動機だったのだが、内容は非常に充実していて、とても「ハブ」としてではなく、この本で充分に学ばせてもらった。
もちろん、学びを発展させるための参考文献リストも充実しているので、満足できる一冊だった。
冒頭にも示したが、治療の経緯とその数年後の予後にまで事例から言及している読み物を、医師の立場から分かりやすく論じており、論理性とイメージが融合した良書だと思う。


おすすめ度:★★★★★(子どもや障がいを持つ方と接する機会の多い人)