2014年2月18日火曜日

原点回帰

特に意識しているわけではないのですが、今年は今所属している機構に入構して10年目を迎える年となりました。職歴全体としては(一応)10年目ということで、生活の変化は感じつつですが、新たなステージに向かおうとする意志がどこかで働いているような気がします。
年が明けてから何気なく手にとった書籍が『無痛文明論」(森岡正博、トランスビュー、2003年)だったりするところが、何だかそんな自分を暗示しているようにも思います。
いろんなことに悩み迷い、不安を常に感じながら過ごした大学院生の頃に、なんだか拠り所であるかのように読んで、修士論文にまで引用してしまった森岡氏の論文です。就職して今に至るまで、特に手に取ることはないのにいつも書棚の一角を占領している書籍達の一冊だったりします。
また、読み終わった時にレビューをあげようと思っていますが、文明が行き着く先にある悪夢としての無痛文明とそこに向かう社会の仕組みを無痛奔流が巧妙に形作る無痛化であるとして、社会構造を鋭く暴いた氏の渾身の論文です。そして、それに抵抗すること、戦いを挑むことについても論じられつつもその具体的な取り組みには触れられない矛盾をも説明し「悔いなく生ききるための知恵」という言葉でゆるやかに人がつながっていくことを提案しています。
私が今の仕事に(も)プライドを持っていられるのも、おそらくこうした下敷きがあるからなのかなと思うところも、10年後のIyokiyehaだから感じるところもあり、なかなか面白い読書時間になっています。

何気なく手にした一冊は、私の原点を確認するとともに、新しいステージでの戦い方をまた考えるきっかけになるのだろうなと思います。きっと今度の10年はまたあっという間に過ぎ去っていくのでしょうが、そんなときにこんな座右の書があることをまた思い出したいなと思うこの頃です。