2012年11月6日火曜日

中王子みのり『Hi!みのり』これから出版、2012年。


私の古巣「浜松NPOネットワークセンター(N-Pocket)」との関わりの中で、お名前は伺っていたのですがまだお会いしたことのない中王子さん。夏休みにN-Pocketの事務所へ家族連れて行ったときに「みのりさんが本出したのよ~」と聞き、その場で購入。
全盲と下肢麻痺のハンデがある中王子さんが、2006年に参加したニューヨークシティマラソン前後の経緯であるとか、学生時代などを振り返って思うところ、普段の生活で素朴に感じていることを綴っているエッセイです。

この本を読んでいる時にたまたま全盲の方の介助をする機会があったのですが、頭では分かっていることもやってみると意外とできないものだなと実感させられた経験でした。振り返ってみれば珍道中なのですが、改札で「iyokiyehaさん、どこにいますか?」といわれてしまったり、そもそも私が初めての経路だったので、途中まで「iyokiyehaさん右です、右」と案内してもらったりと、何ともまぁ情けない限りで。
普段は気にならない電車での他の人の振舞いも、介助中となれば話は別。白杖持った人がいるのに優先席にどっかりと座っている若者に憤りを覚える場面もあり。
ただ、憤りと併せて「(目の不自由な人は白い杖を使うことを)知らない」ことが、差別的ともいえるような行動(あるいは気づかない)となってしまうのかもしれないと感じたのも事実です。
みのりさんのエピソードの多くも、1.「目が不自由な人である」ことがわからない、2.見えないことにより「困っていること」がわからない、3.頭でわかっていても「うまく手助けできない」といったことが様々な場面で起こっていることをそのまま記してくださっており、「あるある」とうなずくことも「なるほど~」と思わずうなってしまう箇所もありました。私のような仕事をしていてもまだまだ知らないことがあるわけですから、普段障害のある方と接する機会のない方にとっては目からウロコの内容かもしれません。

このような社会のバリアに関する鋭い視線もありながら、中王子みのりさんという積極的な人がニューヨークシティマラソンに参加するなど、前向きなエピソードも満載でした。元気になる一冊