2009年7月20日月曜日

勝間和代『断る力』文春新書、2009年。

おなじみ、勝間氏の処世術シリーズ。

「断る」や「Noという」といったキーワードを核に、よりよい生き方を模索するための人付き合いのスキルを説明している。

勝間氏も、以前は「断る」ことが難しかったとのこと。

程度の差こそあれ、会社勤めをしている我々にとっては、人付き合いの中で「個人的な考え方」と「組織の論理」との間で考えることも多いかと。

「断る」と言うと、少しトーンの強い、相手の言うことを「拒否する」ことを連想してしまいがちだが、この本を読めば、「断る」ことは、すなわち「アサーティブな対応」に他ならず、相手だけでなく、自分も要求を通す「Win-Win」の関係を構築するための大切なスキルであることがわかる。

この本がベストセラーになるということが、現代を生きる社会人の人付き合いの傾向を大雑把に表しているように思う。

個人的には、「すごくためになった」とか「目からウロコが落ちた」といったほどの衝撃はなかったのだが、あたりまえのことをシンプルに、そしてひとつのスキルとして、その実践にまで踏み込んで解説している、ということに新鮮味があり、世に出回っている「人付き合いハウツー本」と一線を画している点は、ここにあると思われる。

平素、結構「断る」ことができていると自負していたけれども、本当に大切なことに取り組むために、もう少し断ってもいいかもしれない、と考えるきっかけになった一冊だった。


おすすめ度:★★★★☆