2016年5月22日日曜日

【Audio Book】ハウス加賀谷、松本キック『統合失調症がやってきた』

お笑いコンビ「松本ハウス」の加賀谷氏による自伝。統合失調症の症状に関する描写や、その時々に考えてきたこと、それだけでなく幼少期からの生活歴について、自分の視点で見事に表現されている。また、加賀谷氏を傍で見てきた松本氏の自伝も、それに絡み合うように描かれている。
これまで仕事やPSWの資格取得のための勉強等で、この病気のしくみ(とされていること)や、対応に関しては学んできたが、仕事を通じて聞いてきた断片的なエピソードについて、加賀谷氏という固有なエピソードであるにせよ、現代を生きる一人の人のこととして描かれている。
道路が歪んで自分がつぶれそうになってしまう妄想や、学齢期の人とのかかわりについては、統合失調症のある人だから、ということではなく一人の人の中でどんな思考がめぐっているのか、また松本氏の描写から「人とかかわりあうこと」について思いを巡らせるきっかけとなる。
障害を通じて、人間、に思いを巡らせるきっかけとなる一冊だろう。