2026年1月24日土曜日
大橋禅太郎『すごい会議-短期間で会社が劇的に変わる!』大和書房、2005年。
2025年12月31日水曜日
宮島未奈、「成瀬」シリーズ、『婚活マエストロ』『それいけ!平安部』、小学館。
奥村正子『すごい90歳』ダイヤモンド社、2019年。
2025年10月14日火曜日
本多正識『1秒で答えをつくる力 -お笑い芸人が学ぶ「切り返し」のプロになる48の技術』ダイヤモンド社、2022年。
2025年5月11日日曜日
木澤千『雪の朝の約束』文芸社、2021年、Kindle版。
2025年5月3日土曜日
山本弘『詩羽のいる街』角川書店、2012年、Kindle版。
2025年4月20日日曜日
河谷禎昌著『最後の頭取 -北海道拓殖銀行破綻20年後の真実』ダイヤモンド社、2019年。
2025年3月22日土曜日
辻村深月『かがみの孤城』ポプラ社、2017年、Kindle版。
中学性が抱える悩みや、論理的には矛盾しているように見える感情の描写が、これでもかと明確に伝わってくる小説。
中学生になってから、クラスメートから受けた過剰な働きかけがきっかけで不登校になってしまったこころ。突然輝きだした自宅の鏡に手を伸ばすと・・・そこには現実離れした城、そしてオオガミさま、様々な事情で学校に行きたくても行けない中学生達が集められて、物語は展開していきます。
人との関わりを大切にしつつ、周りに流されず、自分を大切にする選択について考えさせられるとともに、仲間達の背景が明らかになってくると、思わぬ事実が見えてきて、みんなが戻る現実世界での生き方に、少しずつ変化が生じてくる。
辻村さんの文章って、すごくわかりやすいだけじゃなくて、見えないものをそっと見える形にするというか、「なんでそんなことも表現できるの?」ということを、すっとわかりやすい言葉を沿えて置いてくる感じがあります。じゃあ、その内容が複雑怪奇なのか?というと、そうじゃなくて、身近な人がそう思っているかもしれない、そう考えているかも知れないような、表現をするとなると陳腐になるかわかりにくくなりそうなことを、非常にクリアに明確にしてくれる。で、物語だって、終盤にかけて、宝箱が次々と開いていくかのように、序盤から随所に置かれてきた伏線が、全て回収されていくような、読書スピードが前半と後半とで全然変わってくる感覚がありました。小説として、私好みだし、いろんな人に勧めたい、こどもたちにも勧めたい1冊でした。
佐藤純『「雨ダルさん」の本 ー「雨の日、なんだか調子悪い」がスーッと消える』わかさ出版、2021年。
Iyokiyehaはいわゆる偏頭痛持ちで、かれこれ30年以上の付き合いだったりする古参です。薬もいろいろ試しながら、働き始めてからはおそらく偏頭痛やその周辺の体調不良と付き合ってきた人です。そんな自分が、数年前から「天気痛」という言葉が聞こえるようになり、天気痛≒偏頭痛であるらしいことまで突き止めたところで、長女も似たような症状があるとかないとか。妻から参考に買って欲しいと頼まれ、私も読みたいと思っていたのだけれども、娘の書棚に埋もれてしばらく読めなかった一冊。
とても具体的な対策と、説明が一般向け平易にまとめられており、今からできる対策が抱負に盛り込まれています。くるくる耳マッサージは、習慣化することを勧められてはいますが、ゆっくりじっくりやってみると、即効性も感じられ、何より心地いい。タオル体操もやっぱり気持ちがいい。ツボはぐりぐりじゃなくて、時々じんわりと刺激することによって効果的になる。いずれも耳付近を暖めて、血行を良くするためのものだというシンプルな理屈で考案されているので、いつでもどこでもできそうなものが紹介されているのがいい。
早速、今日から試してみよう。
小川糸『ライオンのおやつ』ポプラ社、Audiobook版。→Kindle版へ。ポプラ社、2019年。
これは、ノーマークで聴いた小説でしたが、よかった。本当によかった。
病に冒され、ホスピスで生活することになる雫さん。なんというか、否認から肯定へ、死にゆく人の感情なんて、どうして小説にできるのか、そういう疑問すら浮かんでくるような、本来すさまじい感情の渦を、新しい出会いや食物や生活、サービスの価値や本質に触れることで気づいていくような仮定を、静かに、落ち着いて、淡々と、熱く激しい感情を包み込んで許していくような小説でした。もう一度読みたい。
読んでみた。聴くのとは違う感覚だけれども、文書ににじみ出る人の感情の繊細でいて微妙なことも、文字と行間で発しているようにも思える。人が、何かに気づき、その人が代わっていく、言葉にすると陳腐な表現になるけれども、実際に自分が変わっていく様子を記述するなら、理想的にはこういう書き方になるのだろうな、と思える表現がちりばめられている。その言葉遣いに、素直に脱帽した一冊でした。
辻村深月『あなたの言葉を』毎日新聞出版社、2024年、Kindle版。
辻村氏は毎日小学生新聞の週別連載を担当されています。本書はその連載をまとめたもの。こどもへの贈り物にどうかなと思い、手に取る。結果、辻村氏の小説の一つでも読んだ上で贈り物にしたいと感じ、一年延期。
小学生新聞の連載なので、表現は大変平易でありながら、自分と向き合ったり、本音を柔らかく解きほぐしたりと、小説家ならではの表現力なのか、辻村氏の思考の深さなのか、あるいはその双方を含めてか。何気ない日常の一部から、「そうそう、そうだよね」と大人も思うような、そんなエッセイで充ちている。どれもが優しく、それでいて深い。何か見透かされている感じすらしてしまうが、それでもやさしい。すごいな、このエッセイ。
こどもならではの言動にも着目していて、一見大人としては不可解な言動も「自分も子どもの頃そうでした」という風に解説が入る。なるほど、自分にもそういう言動あったかもしれない、と思い出したり、あぁ子どもらの言動はそういう背景があるのか、と気づいたり。何度も書くが、批判っぽい表現はほとんどなく、どこまでも優しく「そうだよね」と語りかけてくる。これは新しい感覚だ。子ども向けなんてもったいない、とすら感じてしまう。
ジル・チャン著、神崎朗子訳『「静かな人」の戦略書 -騒がしすぎるこの世界で内向的が静かな力を発揮する法』ダイヤモンド社、2022年。
いろんなリーダーシップ論が紹介される昨今ですが、なんだか読んでほっとする一冊に出会えたような気がしました。「自分にぴったり」と言ったら、著者に失礼ではあるのですが、とはいえ自分が悩みながら人を率いて仕事をしてきたことに、一つの裏付けができたような気がして、とても励みになる一冊でした。
所管業務を理解した上で、正しい、よりよい判断を下す、そんなリーダーが求められているのはなんとなく感じてます。ただ、職場での立ち位置が上がり、今の職場のように異動に伴い仕事ががらりと変わる環境では、そういったリーダースキルを発揮できる人はよほど優秀な、ほんの一握りの人だけなんだろう。少なくとも、そうしたスキルを求められたら、私のリーダーとしての評価はよくてC(合格ギリギリか、もう少し足りないくらい)だろう。今の担当業務のように、正確さを求められる法律業務なんかやっていると、そもそも勉強偏差値の低い私には、やっぱり無理だって。
結局そんな中でできることって、法律の主旨とか所管業務の目的をおさえて磨いて、日々持ち込まれる問題や相談に、筋で考えて判断していくしかないわけで。業務の正確とかやり方を知ることで、より正確な判断ができるようになっていくと。すでに業務を行っていて詳しい人に教えてもらいながら、立ち位置を少し替えて「それが間違っていないか」「もっとよくなる方法はないか」と共に考えていくしかないと思うのです。
それに加えて、人からどう見られるかは考えずに言えば、私は本書で言うところの外交的な人間ではなく、むしろ内向的な人間に分類されると思うわけで。この手の性格診断は、信頼性がどうか、ということを差し引いても、いくつかやってみた結果が一つも外向にはならないんです。大分類として「私は内向的ですよ」と言って「全くのウソ」と言い切る根拠はないわけで。そうなると、本著で語られる内向的リーダーの性質や行動、その対策やよりよくなるための助言というのは、私にとってとても有益なものでした。
なにより「今の自分でだいたいよかった。もっとよくする方法はある」と感じることができた一冊だということが、私にとって役に立つ本でした。
2024年8月17日土曜日
武田惇志、伊藤亜衣『ある行旅死亡人の物語』毎日新聞出版社、2022年、Kindle版。
「人を感じる取材」と感じた。記者さんの仕事すべてがこの密度で行われるとは思わないのだけれども、いわゆる「取材力」というのは、こういう形で発揮されるのだろう。そんなことを感じた一冊。取材プロセスが(おそらく大部分の地味な大変なところは省略されているのだろうが)表現されているのが、読んでいて大変面白い。
確かに「ある行旅死亡人」だから、「あぁ、そういうことがあったのね」で済んでしまう出来事でしかないが、そこに気がつき(認知して)、調べていき、まとめていく。記者の仕事って、一つの表現活動なのだな、と思いながら読んでいった。一つの表現のために、膨大な準備と取材をして、入手した情報を、正確かつ伝わるように表現し、発表する。直線的に表現できるこの活動の見えない部分は、地道な情報収集、取材など、ほとんどが思い通りにいかないことばかりだが、時に点と点、線と線がつながってくる感覚があるのだろう。そういうかすかな情報をつなぎ合わせて、一つの記事(作品)になる。模索、練習、振り返りの膨大な繰り返しの上、作品として立ち上がってくる、そんなことが垣間見えるノンフィクション?であった。最初から最後まで、興味をもって読み通しました。
2024年6月29日土曜日
渡部陽一『晴れ、そしてミサイル』ディスカヴァー21、2023年、Kindle版。
渡部氏が最も「柔軟」だと気づかされる。戦争の中に日常があることを語る。人を理解することが、相互理解の土台となり、真の意味での国際理解、平和への一歩だとする。さらに、ジャーナリストとしての情報の読み解き方についても言及がある。「戦場カメラマンの~」という独特な口調が印象的な渡部氏だが、本当にすごい人なのだと再認識させられた。Voicyもやってますよ。
https://voicy.jp/channel/2673
アレックス・シアラー著、金原瑞人訳『世界でたったひとりの子』竹書房、2005年。
子どもが生まれること、それ自体が大変希少な出来事となった世界二生きる子どもタリンの視点で描かれる物語。PP(永遠の子ども)手術が一般化しており、老化を止めることができる世界では、「子ども」が大変重宝がられている。
「僕は大人になりたいんだ!」と守られた環境から抜け出て、希少であることを捨てて、自分を生ききる選択をするタリンの物語。
2024年4月29日月曜日
荻野弘之、かおり&ゆかり『奴隷の哲学者エピクテトス 人生の授業 -この生きづらい世の中で「よく生きる」ために』ダイヤモンド社、2019年。
自分ができることと、できないことを区別する。事実と評価は異なる、事実に善悪はない。どんなことであっても「善用」はできる。「自由に至る唯一の道は『我々次第でないもの』を軽く見ることである」欲望、判断、忌避、意欲は自らの欲望としてもいい(我々次第のもの)が、例えば、評判、身体、地位、財産などは、我々次第でないもの(裁量の外にある)であるから、として、軽視する。これを「禁欲」と呼ぶのが古代ストア派の考え方として紹介されている。この根本的な思考から、個別具体的な考え方が論じられる。
■以下、項目引用
84 人々を不安にするものは、事柄それ自体ではなく、その事柄に関する考え方である
132 「傷つけられた」と君が考える時、まさにその時点で、君は実際に傷つけられたことになるのだ
152 他人と同じことをしないでいながら、同じものを要求することはできない
164 他人をも自分をも避難しないのが、教養のできた者のすることである
アラン・W・エッカート『大草原の奇跡』めるくまーる、2000年。
大学生も後半に差し掛かった学部3年生の頃から、修士課程を修了する直前まで、とにかく本を読もう、とアルバイト代を原資に毎月10,000円分の図書券(当時)を金券ショップで買って、10,500円分の本を買うということをやっていました。おかげで、当時JR静岡駅、静岡鉄道センター付近の金券屋で顔を覚えられてしまう始末。
この本は、そんな頃に静岡市の谷島屋さんで、多分平積みになっていたものにピンときて、小説枠で買ったものと、時期的に思われます。それから、浜松帰宅後の数回の書籍整理を生き残り、前回帰省時に所沢へ移送してきたもの。状態が良かったので、そのまま読み始め一気に読み切ってしまった。
私が生まれる前に、オーストラリアで出版されたものが、世界十数カ国で翻訳されたロングセラーらしいです。著者のことも、この物語のことも知らなかったのだけれども、日本でも古くに出版されたものが絶版となって、2000年に再版されたようです。
自閉症っぽい男の子が、草原で遭遇したアナグマと二ヶ月間生活を共にした物語。一言でまとめるとこうなるが、その出来事を通じて起こる成長・家族の変化が、胸を打ちます。特に引き込まれるポイントとしては、アナグマの行動と、主人公ベンとアナグマとの生活の描写が、活き活きと表現されていること。訳がいいのかもしれないが、原著はもっとすごいのかもしれない。おそらく両方が素晴らしいのだと思う。結末も、フェードアウトしていくようなイメージの物語で、私は好きです。思わず頬が緩む。
現時点では絶版となっているらしいのですが、文庫化とかされているのかな?いずれにせよ、図書館になければ、入手は難しいと思いますので、興味のある方はお知らせください、お貸しします。
■引用
230 ねえ、ウイリアム、あの子とアナグマはなぜだか切っても切れない間柄なのよ。私たち、理解するよう努めなくちゃね。理解できないとしても、あの子を助けてやりましょう。
阿部のり子『今さら聞けない!自治体係長の法知識』学陽書房、2023年。
現在係長級の自治体職員Iyokiyehaの、まさに今の課題にぴったりの一冊。法律初学者にもわかりやすい説明文と、業務上の具体的な法律適用に関しては、勉強会の対話形式で説明が進行する。大変わかりやすい。
業務にあたり、決裁文章をチェックしたり、自分が矢面にたってクライアントと相対する時に、法制度の知識というのは、自分の言動を裏付けるものであるといえる。この知識の特徴は「知らなければ守れるものも守れなくなる」こと。知っていて、正しく使いこなすことができれば、いろんな人のいろんなことを守ることができるのにも関わらず、だ。
2023年12月10日日曜日
鴻上尚史『青空に飛ぶ』講談社文庫、2019年。
以前にAudiobook版を紹介した『不死身の特攻兵』のノベライズ版。太平洋戦争末期に、陸軍特別攻撃隊として九回出撃して生還した佐々木友次氏の生き様に触れた中学生荻原友人が、自分の生き方を見いだしていくもの。
佐々木友次氏の経緯については、先に取り上げた『不死身の特攻兵』に詳しく、その概要版と言える。とはいえ、戦時中の日本軍の言動と、その命令に屈することなく「体当たりするくらいなら、爆弾を投下して帰還する方がいいに決まっている」と、自明の考えを曲げず、時にはしたたかに、とはいえ高いプライドを持ち続けて、9回生還した。この佐々木氏の人生については(仮に多少の誇張や誤解があったとしても)文句なしに面白い。思わず拝んでしまいたくなるほどの迫力と、感動があった。
一方の荻原友人の物語は、いじめの描写が生々しく、実際に人を苦しませるいじめというのはこういう八方塞がりになっていくものなのだろうなと、気持ち悪くなるくらいであった。気づかない両親や教員、エスカレートするいじめ、クラスでは傍観者でもSNSでは気流に飲まれていじめてくるその他大勢のクラスメート、そして事実を告げられない閉塞感。他の読み物では、助けてくれる大人や友人がいて、救い出してくれたり、反撃をしたりしそうなものだが、(以下、一言ネタバレ)結果「逃避」というのが、また生々しい。実際には反撃なんかできないケースだってたくさんあるんだろうから、現実起点の物語として、この結びはちょうどいい感じだと思った。
■以下引用
96 身はたとへ南の海に散りぬとも とどめおかまし大和だましひ (中略)
家をすて妻を忘れて国のため つくしたまへとただ祈るなり
238 いろいろ言われますが、船を沈めりゃ文句ないでしょう
250 日本人らしくないからだ。そうだ。そうなんだ。友次さんは、ぼくのイメージする日本人と違っていた。ぼくの知っている日本人は、大きなものに従って、じっと黙っている人達だ。
275 「強くはないさ。私は自分の寿命を生きただけさ」
友次さんはきっぱりと言った。
「寿命を決めるのは仏様。寿命がある間は逃げるわけにはいかないっしょ。自分で寿命を終わらせたらだめだべさ。寿命は自分できめるもんじゃないっしょ」
329 君が一人生き残ったのは、君が何かをしなければならんことがあるのです。フィリピンでがんばり抜いたように、これからも生き抜いてください。それが、君に死ぬなと言った、益臣(岩本大尉)の願いに沿うことじゃないですか
丸山正樹『デフ・ヴォイス -法廷の手話通訳士』文藝文庫、2015年(初出:文藝春秋、2011年)。
CODA(Children of Deaf Adults)で元警察事務職員の尚人が、手話通訳士として殺人事件に巻き込まれていく小説。久々に小説を読んだことに加え、すっかり「この」世界に没頭した。小説の一気読みなんて、何年ぶりだろう。フィクションでありながらも、それほど明るい話題ではないのだが、落ち着いてじわじわとやってくる迫力と、随所にちりばめられたいわゆる「文化摩擦」とその架け橋となる手話という言語に、改めて意識を向けさせられました。ミステリの要素がいいスパイスになっており、一気に読ませる一冊でした。
■以下引用
97 幼いころから嫌というほど「家族と世間」との間の「通訳」をしてきたのだった。
123 彼ら(デフ・コミュニティを言語的少数者、文化的集団と捉える運動を起こしたアメリカのろう者たち)は、自分たちの集団を「耳が聴こえない」ことによってではなく、言語(手話)と文化を共有することによって成り立つ社会とした。その際、英語で耳の聴こえない人のことを表現するdeafという単語の頭文字を大文字にし、Deafという言葉を、新たに彼らのコミュニティのメンバーを指すものとした。
158 デフ・ヴォイス。生まれついてのろう者は、人前で滅多に「声」を出すことはしない。しかし、家庭内ではその限りではなかった。特に、「聴こえる」子どもを離れたところから呼んだりする場合などには。