2008年8月31日日曜日

自己変化の度合いに関する仮説

職業リハビリテーションに携わる者として、日々業務に携わり、考えていたことがある。
それは、対象となる人の目標到達(達成)は、何が支えるのだろうということ。
言い換えれば、目標達成は、何によって成立するのだろうか。

昨晩、寝る前に『部長 島耕作』のバイリンガル版を読んでいる時に、ふと頭に浮かんで書き留めたことは、こうだ。


 課題改善=モチベーション×行動の事実


この「課題改善」を「成長」とでも置き換えれば、万人に通用する公式になるような気もする。
意味するところは、何らかの行動改善や思考方法の改善を試みる時(そもそも「改善」とは何だ?という疑問はあるが、それは別の機会に考察する)、その「改善」が本人(自分を含む)の必要と思っていることと一致していることが必要である。
つまり「やらなきゃ」と思う気持ち(≒モチベーション)である。

極端に言えば、自分が必要だと思っていないことは、いくらやっても無駄である。

もう一つ。
「やらなきゃ」と思っているだけではだめで、改善に関して何らかの行動を伴う必要がある。
この「行動」というのは面白いもので、モチベーションがあれば、たとえ失敗と見える結果であっても、それは「経験」として読み替えられ積み重ねられる。
モチベーションがないと、この失敗が「失敗」として刻み込まれることとなり、学びがなく、課題改善の足しにならない。

「やらなきゃ」いかんことは、「やれ」ということだ。

そのまま、Iyokiyehaの生活にも当てはまるなと思う。
そして、Iyokiyehaの仕事にも、PSWとしての姿勢にも、全くこの通り当てはまってしまうように思う。

何であれ、「支援者」としての立場となったときには、対象となる方から「モチベーション」を引き出し、ターゲットとなる目標と行動を適切に設定することが求められる。
まさに、こういうこと(下図)だと思う。





石山勲『精神保健・医療・福祉の正しい理解のために ――統合失調症当事者からのメッセージ――』萌文社、2005年。

統合失調症当事者から見た、精神医療、保険、福祉制度について、率直な意見が論じられている。
Webで横行しているような、現行制度に対する批判ではなく、自らの経験をできるだけ客観的に記述しており、制度に関する指摘も自らの経験から、早急に検討すべき示唆が多数含まれているように読み取れる。
統合失調症が「思考方法・内容の障害」であるとされる理由を、自らの経験から見事に説明している(57~58ページ)箇所は、当事者でなければわかりにくい概念を、理解しやすい言語化しているといえる。

いつも通り、当事者によるものは、謙虚に学ぶ姿勢で読ませてもらっている。
制度に関する指摘も、それを活用したい当事者にとってはもっともな話で、早急に議論されることを願うとともに、制度の隙間をそれに携わる行政職・専門職がマンパワーで埋めていかなければならないことを示唆しているように読めた。
自らの業務は、常にこうした視点から見直さなければならないと思う。
ただ、一箇所だけ気になったのは(Iyokiyehaがそれに関する仕事をしているからであるが)、雇用率に基づく納付金制度を「罰金」と一言で書いてしまっている箇所である。
そんな細かいことはさておいても、非常に学び多い書籍であった。
統合失調症の説明に関しては、時に業務の中でも使わせてもらっている。


おすすめ度:★★★★☆

篠原佳年、松澤正博『モーツァルト療法』マガジンハウス、1998年。

胎教にいいとされる「モーツァルト」。
何でいいのか?ということについて、トマティスメソッドに基づく耳のしくみと、モーツァルトの音楽そのものに関する仮説と理論。
専門的な話題にも関わらず、一般向けの読み物として書かれており、その記述は一貫して人体の神秘について論じられている。
純粋に、人間の「耳」と「聴覚」のしくみを学ぶのにも、いい書籍であると思う。

音は「聴覚神経」だけでなく「骨伝道」でも、意外と多くの音を感じている。
そして、耳のしくみとして、中耳の骨のバランスにより、聞こえる(感じられる)音にフィルターをかけたり、かけなかったりするとのこと。
人の身体は、本当に微妙なバランスで成立しているのだなと思わせる、驚きの記述で一杯だった。
別に、これから生まれてくるIyokiyehaベイビーを天才にしようとは思わないけれども、聞いていて心地いい音楽は、胎内で聞こえているのなら聞かせてあげたい。
いい音楽は、確かに脳にいい刺激となるのだと思う。
勉強中に聞く音楽としても最適な「モーツァルト」。
その理由には、やっぱり科学的な根拠もあるようです。


おすすめ度:★★★★☆

2008年8月28日木曜日

松久淳、田中渉『あの夏を泳ぐ 天国の本屋』新潮社、2008年。

松久+田中コンビによる6年ぶりの小説とのこと。
彼らが描く世界は、とても静かで、穏やか。
でも、小説の中に「人が生きている」感じが読み取れる。
人の純粋さ、美しさ、葛藤、矛盾、若さ。
生きた描写の中に、様々な感情が読み取れる。

Iyokiyehaは、小説をあまり読まないのだけれども、このシリーズはずっと読んでいた。
「天国の本屋」を介して描かれる世界観が、おそらくIyokiyehaにはフィットしているのだろう。
「似合わない」と言われても、好きなものは好きなのだ。
こればっかりは、仕方がない。

ベストセラーにランクインしている小説のようにギスギスした人間関係ではなくて、もっと生々しい、それでいて純粋な、Iyokiyeha自身の人生とも一部触れているような描写(私はあくまで男性ですが、なんていうか、若い頃の初々しさとか切なさとかといった感覚)が、読んでいて非常に心地いい。
好きな小説シリーズなので、評価は甘めです。
私の好みってことで。


おすすめ度:★★★★★

2008年8月24日日曜日

読書状況080824

<今週の状況>
旅行や出張など、外出すると、読む本が増えるというのは、Iyokiyehaの良いことでもあり、悪い癖でもある。
読み物やら小説やら、たくさんあるが、ぼちぼち読んでいきます。
一般書中心で読んできたところですが、『エンデュアランス号』の影響もあり、小説などの読み物も積極的に読んでいこうと思う。
知識だけでなく、表現を学ぶことと、いろんな「生き方」の背景を学ぶ意味も込めて。


○既読
・『週刊ダイヤモンド 2008年8月9・16日号』ダイヤモンド社、2008年。
・森岡正博『草食系男子の恋愛学』メディアファクトリー、2008年。
・島田洋七『佐賀のがばいばあちゃん』徳間文庫、2004年。
・爆笑問題『爆笑問題の戦争論 爆笑問題の日本史言論』幻冬舎、2008年。

○一部
(精神保健福祉士通信講座テキスト複数)

○中断
・『Foresight』2008年8月号。

○現在進行中
・『Foresight』2008年9月号。
・『週刊ダイヤモンド 2008年8月30日号』ダイヤモンド社、2008年。
・米内山明宏『DVD付き はじめての手話入門』ナツメ社、2005年。
・茂木健一郎、NHK「プロフェッショナル」製作班編『プロフェッショナル仕事の流儀 あえて、困難な道を行け』日本放送出版協会、2008年。
・松下幸之助『道をひらく』PHP研究所、1969年。
・弘兼憲史著、ラルフ・マッカーシー訳『バイリンガル版 部長 島耕作 新装版②』講談社インターナショナル株式会社、2007年。
・ドナルド・ショーン著、佐藤学、秋田喜代美訳『専門家の知恵 反省的実践家は行為しながら考える』ゆみる出版、2001年。
・太田光、田中裕二、山岸俊男『爆笑問題のニッポンの教養 人間は動物である。ただし…… 社会心理学』講談社新書、2007年。
・PHP研究所編『常に時流に先んずべし』PHP研究所、2007年。
・篠原佳年、松澤正博『モーツァルト療法』マガジンハウス、1998年。
・松久淳、田中渉『あの夏を泳ぐ 天国の本屋』新潮社、2008年。

爆笑問題『爆笑問題の戦争論 爆笑問題の日本史言論』幻冬舎文庫、2008年。

爆笑問題の二人が対話(漫才?)形式で、日本の歴史を解いていく、新しい形の歴史本。
シリーズ化しているのだろうか?
本書は、日清戦争から第二次世界大戦まで、コンパクトなデータを基に、日本が世界大戦へ踏み切った状況という大真面目な内容を、二人の軽快なやりとりによって気軽な読み物としている。

読み物としては、結構面白い。
京都大学の佐伯氏が「基礎知識が身に付く」と絶賛しているように、時の状況を概観するには適当な書籍といえる。
描かれている歴史観が、社会科教育の教科書に準ずる内容となっているのが、個人的には少々残念だったが、歴史の一面を切り取る限り、様々な立場があって然るべきだと思う。
立場の違いによって、読み物を排除するのは、私の性に合わないので、これはこれでいいと思う。
コンパクトだが論を補強するのに適当なデータが、随所に挿入されており、説得力のある読み物に仕上がっていると思われる。


おすすめ度:★★★☆☆

PSWを目指す理由

今年度の4月から、精神保健福祉士(PSW)の国家試験受験資格を取得するための通信講座に参加している。
受験してみたら受かってしまって、この一週間は仕事を休んで東京に滞在し、スクーリングを受けているわけだが、いろんな刺激を受けて、改めて「PSWを目指す理由」を考えてみた。

生々しいことも含めて整理すると、現時点で優先順位順に以下の通りになる。
1.今の仕事で「強み」を作る
 一年前には、特に何の障害にこだわっていたわけではないけれども、山梨に来てから精神障害を持つ人と多く接するようになって、この障害を持つ方の社会復帰の難しさと、可能性双方を意識するようになった。地域生活をしている精神障害者の方は、そのほとんどが「ニーズにマッチした支援」の下、周囲のちょっとした理解があれば、就労を経た自立生活を営むことができると思う。復職支援まで含めれば、障害者雇用の将来を考えた時に、精神障害に関しては私が生きている間はその支援がなくなる(=理想のノーマライゼーションが実現する)ことはないと仮定し、私の支援技法に一つ突き抜けたものを身につけたいと考えている。その基盤として、職業リハビリテーションの近接分野で、より広範囲なクライアントに対応できる知識と技術を身につけるためのPSWである。

2.再就職を意識
 こんな風に書くと勘違いする方もいるかもしれないが、すぐに再就職は考えていない(今のところ業務そのものに不満はないし、何より雇用条件がいい)。ただし、独立行政法人の性質上、いつ・何が起こるかわからない。同期のH氏が言うように、障害者雇用そのものがなくなる可能性は捨てきれないが、私の見立てではとりあえず現職は、今のしくみのまま15年はもつと思う。しかし、20年後は機構だけでなく、独立行政法人のしくみそのものがどうなるかわからない。雲行きが怪しくなって25年後に解散、ということにでもなった時のことも考えると(私が54歳)、他で通用する資格を取得することは、人生のリスクマネジメントにもなるだろう。
 また、子どもができて、のっぴきならない状況がもし起こりうるのであれば、転勤を伴う現職を続けることに限界がくる可能性も捨てきれない。そこまで考えた時に「より安全な」選択肢として、国家資格を取得することは決して損にはならない。

3.ソーシャル・アクションを意識
 前向きな理由としては、この点が強いかもしれない。隙あらば私は、機構の枠におさまらない活動にも参加したいと思っている。というのも、本来「ノーマライゼーション社会の実現」が機構の設立趣旨の一つでもあるにも関わらず、現場のしくみは必ずしもそうなっていないこともある。各ケースのマネジメントは当然優先されるべきだが、それだけで満足していたら、いつまでたっても社会のしくみは変わらない。このあたりが、NPOを経て行政機関に入った私が、今の職場を「物足りない」と感じる地点であるように思う。事業体としてだけでなく、事業運営の向こう側に「社会変革の芽」を見据えていなければ、いわゆる「国民の皆さん」に批判される行政機関であり続けなければならない。そんなのは、まっぴらごめんである。
幸いなことに、PSWの本来の専門性は、精神疾患を持つ方へのケアだけでなく、精神保健福祉全般に関する取り組みになるため、この点においても資格取得は私の活動範囲を広げるきっかけになる。

たとえ自分がどんな立場であったとしても、その専門性を極めることと、多分野への理解と連携によって、新しい価値を生み出し、社会の変革に寄与できると信じている。
私が精神保健福祉士の取得に踏み切った理由は、ざっとこんなところだろうと考えている。

2008年8月21日木曜日

精神保健福祉士スクーリング(6日目)精神医学

6日目。
現役医師による講義。
第一線の医師から、めちゃくちゃ内容の濃い話が聞けた。
昨日同様、やはり知識の整理と、今後の勉強のためのハシゴをかけてもらうような内容ではあったが、普段触れることのない医療の内容(人の身体のしくみと働きかけの内容)についての講義だった。

昨日と同じように、率直に「考える暇のない」講義だったので、現時点(内容のまとめはじめの今)思索が深まるものではなかったため、「考えたこと」は省略する。一つだけ強く感じたのは、医学情報は大袈裟ではなく「5年で新しくなる」ものであるため、常に情報を更新する必要があるということ。新薬の情報や、医学的な成果は、新聞にそれほど大きく掲載されないため、「無理のない範囲で」自分なりの情報源をもたなければならないと思う。


<講義内容概要>
1.精神医学基礎
(1)勉強する上での注意点
 ①「医学用語」の意味
「医学用語」は、「日常用語」、そして「心理学用語」と、それぞれに共通する言葉を使いながらも、その意味するところが違うことも多い。医学的に用いられる場合の「定義」をきちんと確認する。
 ②Web情報
 学会および公文書(厚生労働省など)といった内容と、それ以外のものとでは信憑性の部分で差があるため、注意する。
(2)入院の形式(レポート講評)
 精神保健福祉法において、入院形態が定められているが、それぞれについて精神科医がどんな判断をしているか理解することが重要。
 ①医療保護入院
  医師は、「本人の病識の有無」を判断する。
  -検討の三点セット(患者、保護者(法的)、指定医)
   病院勤務時、その時点で指定医が不在の場合は安易に救急患者を受けない
 ②措置入院
  医師は、「本人に自傷他害の恐れがあるかどうか」を判断する。
 ③応急入院
  医師は、「②に加え、保護者がいても同意できる状態にあるか」を判断する。
※ちなみに、Iyokiyehaが前回提出したレポートは、無事にパスしました。コメントをくれた皆様、ありがとうございました。
(3)精神疾患の分類
 ①内因性(身体因性)
  障害の原因を「身体」(脳の機能的障害)に求める
  -統合失調症
  -躁うつ病(気分障害)
 ②外因性
  障害の原因を「身体」(外的要因の脳への侵襲、脳以外の身体疾患が原因)に求める
  -器質性精神病(脳に「何か」がある)
   脳腫瘍、脳外傷、脳炎、神経梅毒、てんかん
  -症状精神病(別の身体疾患が原因)
   感染症、膠原病、内分泌代謝疾患
 ③心因性
  障害の原因を「精神的なもの」に求める
  -神経症(身体要因がないもの)
  -心身症(身体要因(原因疾患:胃潰瘍など)があるもの)
―――
 ④人格障害
  発達そのものの異常(①②③が、理由により正常発達が阻害されるのに対する分類)
  -境界性人格障害
  -自己愛性人格障害
(4)その他
 「不安」と「恐怖」の違い
 ①不安
  対象がはっきりしない、漠然としたおそれ
  アプローチ:情報を整理して、対象を明確にする
 ②恐怖
  対象のはっきりしたものに対するおそれ
  アプローチ:認知を切り替えて処理する。環境を調整する。

2.統合失調症
 統合失調症とは、思考内容・思考形式の障害
(1)疫学
 ①頻度:人口の1%程度
 ②年齢:15~35歳がほとんど
 ③病因:多因子遺伝、脆弱性-ストレスモデル、神経科学的研究、ドーパミン仮説
  (これらに限定されていない)
  -ドーパミン仮説(メモ参照)
   ドーパミンが過剰に放出され不必要な情報まで伝達してしまう
(2)分類(統合失調症・分裂病)
 ①破瓜型:10~20代、予後・不良
  陰性症状主体、慢性の経過(パーソナリティの障害)をたどる
 ②緊張型:若年、急性発症、ほぼ寛解だが周期性あり
  緊張病性興奮、緊張病性昏迷
 ③妄想型:30代、予後・ある程度は維持
  被害妄想(体系化される)
 ④単純型:緩徐進行、予後・軽度不良
  陰性症状中心、幻覚はない、パーソナリティの貧困化
(3)症状(略)
(4)診断
 ①病歴聴取
 ②面接・行動観察
  -プレコックス感(重いものを知っておくべき)
 ③精神症状
  -シュナイダーの一級症状(略)
(5)治療
 ①抗精神病薬
  -ドーパミンレセプタをブロックする
 ②生活療法
 ③作業療法
 ④電気ショック
 ⑤その他(アフターケア:デイケア、SSTなど)

(続く)

2008年8月20日水曜日

飲み屋にて

別に、こんな情報が出たから帰ってきたわけではないのだけれども、今日は早めに宿に帰る。

先日見つけた、串鐵さんで気持ちよく飲んでいたのに、酔っ払いのおっちゃんに絡まれます。

http://iyokiyeha.blogspot.com/2008/08/blog-post_4646.html

不思議なことに、絡まれてもけなされないIyokiyehaです(何だか「オマエはいいヤツだ」とか「いい飲み方だ」「最高だ」など)。学生時代に、バス停でホームレスのおっちゃんと意気投合(?)し、30分くらい世間話したことも思い出しました。

飲み屋で文庫本読んでる30前のおっさんなんて、誰も相手にせんだろうに、こともあろうにIyokiyehaに握手を求めてくる酔っ払い。さすがに、無言で冷たい視線を送ってしまいました。

・・・黙るなよ。

あれだけ威勢よくガハガハやってたおっさんが、しゅんとしていじけたように飲み始めてしまいました。いかんねぇ、適当にあしらっておけばよかった。すっかり私が悪者みたいじゃないか。

お勘定のときに、店員さんから「すんません。最近なんか入り浸ってる人なんです」とこっそり言われる。「大丈夫ですよ、大変ですね」と返す。

そんなことよりも、注文した「大根サラダ」の大根が、この世のものとは思えないくらいの辛さだったことが思い出されます。飲み屋で大根サラダ食べて、まさか泣くとは思わなかった。

いろいろあって、おもしろいですね。世の中って。

精神保健福祉士スクーリング(5日目)法学・心理学

5日目。
共通科目の講義は、勉強していない(まだレポート課題になっていない)ので、ちんぷんかんぷんになるんじゃないかと思っていたのだが、講師のスキルも高く、どちらかと言うとあまり好きでない法学も、何度も断片的に勉強しつつも全体像がつかめない心理学も、どちらもいい意味で緊張感のある講義であった。
知識の整理で精一杯だったので、考えたことは少ないが、以下の通り。

■日常の業務に埋没していると、各種法律の改正は二の次三の次になってしまいがちだが、大局観を得るためにも、基本的なことを把握した上で改正の内容は把握しておいた方がいいと思った。精神保健福祉士取得目的の一つでもあったのだけれども、特に福祉関係の法律について、一通りのことは知っていないと、就職を通じたライフプランニングは難しいのだろうなとも感じた。
■前々から感じていたことだけれども、心理療法は形だけ真似してもその本質は掴めない。基礎理論の上に、パッケージ化されたプログラムが開発されているのであって、パッケージを形だけ真似しても、本来のプログラムがターゲットとしている「治療」や「教育」的効果は期待できない。


<講義内容概要>
○法学
1.日本国憲法
(1)憲法のしくみ
 ①基本的人権
  -個別的人権(後述)
  -包括的人権(11、12、13、97条)
 ②統治
  -国会
  -内閣
  -裁判所
  -予算
  -地方自治
     ・・・他
  に大別される

(2)個別的人権
 ①平等権(法の下の平等(14)、男女平等(24))
 ②自由権(「公共の福祉」に反しない限り、法の下に、国民は平等)
  -精神的自由(思想(19)、信教・政教分離(20)、集会・結社(21)、学問(23))
  (内に秘めている限りは、何を考えてもよい)
  -経済的自由(職業選択(23)、財産(29))
  (仕事は何をやってもいいし、私財は守られる)
  -人身の自由(苦役からの自由(19)、財政手続き(31)、刑事的(33-40)
  (拘束されたり、不当な扱いから守られる)
 ③社会権(後述)
 ④参政権
 ⑤受益権

(3)社会権(生存権)
 ①生存権(25)
  -(25-1)最低限度の生活を営む権利(国民の権利)
  -(25-2)(国の責務)
 (重要)朝日訴訟
  ポイント:行政不服審査法、行政事件訴訟法、最高裁判断
  -行政不服審査:行政機関に対する審査請求
  -行政事件訴訟:行政処分の取り消しなど、裁判所判断を求めるもの
  -朝日事件の最高裁判断
   結論:本人死亡により上告は認めず
      ただし、ⅰ:憲法25条は「プログラム規定」
          ⅱ:生活保護基準の設定は行政の裁量
          ⅲ:ⅱについて、本件では行政の逸脱・濫用はない
 ②教育権(26)
 ③労働権(27)

2.成年後見制度(民法)
(1)平成12年改正の経緯
 ①判断能力を否定するような制度だった
 ②戸籍に登記されてしまったことにより、家族が二次被害を受けるケースがあった
(2)改正内容
 ①戸籍登記の廃止(後見登記制度へ)
 ②名称変更(禁治産者から成年被後見人へ)
 ③配偶者後見人原則の廃止
 ④市町村長への申立て権付与
 ⑤複数後見・法人後見が可能となる
 ⑥任意後見>法定後見
         ・・・他
任意後見:自分に判断能力がある時に、公正証書によって信頼ある人に、将来後見人となってもらうことを依頼しておくもの。依頼されたものは、本人の判断能力が不十分になった際、家庭裁判所に申立てをし、家裁の判断により成年後見が開始となる(監督人を別に立てておく必要がある)。
※成年後見制度の効力は「財産取引行為」(「身分行為」は後見人の権限が制限される)


○心理学
1.心理学基礎
 学問的な心理学は、ブントWundt.W.がライプチヒに心理学実験室を創設(1879年)から始まる。
(1)構成心理学
 ブントが始めた、事象を構成要素に分析する
(2)ゲシュタルト心理学
 全体としてのまとまりを対象とする
ウェルトハイマー、ケーラー、コフカ:知覚・思考・記憶など
レヴィン:人格心理・社会心理
(3)行動主義心理学
 客観的で観察可能な行動を対象とする
  ワトソン:刺激(S)→反応(R)
  トールマン、スキナー、ハル:学習の心理
(4)精神分析学
 意識にのぼらない欲求・感情に注目
  フロイト:自由連想法・夢分析→人格理論、発達理論、治療理論
  アドラー:個人心理学
  ユング :分析心理学
 新フロイト派
  ホーナイ、フロム、サリヴァン:自我心理学、対象関係論など

2.動機づけ
(1)過程
 ①欲求need
 ②動因drive(生理的な現象)
 cf:誘因(外的要素)
 いずれも「○○したい」と行動しようとするもの
 「動機づけ」:行動を開始させ、方向づけ、継続させる過程
 ※マズローの「動機の階層説」
(2)内発的動機づけ
 環境に対して、自発的・積極的に働きかけ、効力感を得ようとする動機づけ(ホワイト)
 例:感性動機(感じてみたい)
好奇動機(やってみたい)
操作動機(使ってみたい)
 内発的動機づけの本質は、有能さと自己決定を追及する点にある(デシ)
 -達成動機:優れた基準や目標を立てて、それを達成しようとする動機。
原因帰属が動機づけに影響する(能力、努力、困難度、運)

3.学習
 ソーシャルワークには、対象者への学習を含めた動機づけが必要
 「どう引き出すか」
学習の心理
(1)古典的条件づけ(パブロフ)
  (=一番最初の、レスポンデント)
  無条件刺激に付随する条件刺激により、無条件反応が条件反応となる
  例:音がすると唾液を出す犬
(2)オペラント条件づけ(スキナー)
  (=道具的条件づけ)
  自発的行動によりごほうびを貰うと、自発的行動が「道具」となる
  -強化:行動頻度を増やす(報酬を与える)
   連続強化:毎回報酬を与える。新しいことを覚える時に有効
   部分強化:時々与える。学習を維持するのに有効
  -消去:行動頻度を減らす(無視するなど)
(3)観察学習
  モデルの行動を観察するだけで、実行や強化を行わずに成立する学習
  モデリング理論(バンデューラ)

4.発達の心理
 発達:成熟による変化(学習:経験による変化)
  成熟優位説(ゲゼル)
  環境優位説(ワトソン)
 発達段階
(1)フロイト:性的
  -リビドー
(2)エリクソン:社会的
 ①ライフサイクル(老年まで)
 ②社会の中における発達
 ③対比概念と「社会的危機」
 ④徳(獲得される性質)
(3)ピアジェ:認知
  -能動的発達感

5.臨床心理
(1)対象者理解
 ①観察
 ②面接
 ③検査(観察が内包されている)
(2)援助
 ①精神分析
 -無意識の心の動きを対象とする
 -幼年期の体験に原因を求める
 ②行動療法
 -学習のしくみを利用し、セラピーに役立てる
 -適切でない行動が学習されているから、消去する(例:不安の軽減)
 例:SST
 ③人間性心理学
 -ロジャース:来談者中心療法(クライアントの意思を重要視)
        後年、エンカウンターグループへ発展

2008年8月19日火曜日

あたりめ840円

宿泊しているホテルのエレベーターにて。
「あたりめ」って、干したイカだよね?840円って、どんな高級なのがでてくるんだろう?コロッケ380円の倍以上。結構突っ込みどころのある値段表なわけですが、そもそもコロッケも「日替わり」なんですね。「本日のコロッケは『野菜』でございます」「『かぼちゃ』コロッケはないんですか?」等というやりとりがされるのだろうか。
そもそも小綺麗なレストランだから「あたりめちょうだい」と赤提灯風に言うのも変。

謎だ。
でも、一人で確かめるのも、ねぇ。

ホテルは、設備よく、従業員さんも感じがいいので、安心して滞在できるのですが、それゆえ、この値段表だけ気になってしまいました。

精神保健福祉士スクーリング(4日目)精神科リハビリテーション学

4日目。
スクーリング折り返し地点である。
率直なところ、思っていたよりも熱のこもった講義が立て続けに並んでいるので、心地いい疲れに襲われている。
これまでのところ、講師は皆PSWとして現場を作ってきた人たちで、理論を具現化し、現在は教育に携わっているということで、内に秘めた「熱」(スピリッツとか、パッションとかとほぼ同義)が抱えきれずにほどばしっているようにも感じられる。

講義を受けて考えたことは、以下の通り。
■「常識を疑う」ことについて、私はそれほど抵抗がない種類の人間である。しかし、私が持っている情報そのものが、常に更新されていなければ、比較判断する材料それ自体が信用できないものになってしまう。抗精神病薬がドーパミン受容体を増やしているという情報を知っているのと、知らないのとでは、私が取り得る支援方針の幅も大きく変わってくることになる。継続して、勉強が必要である。
■「クライアントの真のニーズに合った支援を組むことができれば、失敗しない」という持論が、それほど間違っているとは思わないし、「『できない』と言わない」という私の目標設定も、実現不可能とは思わない。ただ、これまで「病気を治したい」というクライアントに対しては「それは無理」と言ってきた。職制としては、間違った答えではないのだけれども、今回勉強して少し見えてきたのは、本人の「治った像」と、「それに近づくための戦略」、「医者との付き合い方」といったところで、ニーズを整理することができるのではないかということ。現段階ではまだメモ程度です。
■PSWは「クライアントの力を引き出す」ことが役割であるとのこと。この定義は、Iyokiyehaにとって「ぴったり」くるものである。エンパワメントしていくという姿勢は、現職でも忘れないようにしたい。
■「絆」というキーワードがあった。Iyokiyehaは現職の中でも、本人の「真のニーズ」を引き出すための「絆」は大切にしているつもりである。ただ、周囲の評価として「踏み込みすぎ」や「本人より」とされることもある。もちろん、組織の論理をいつも破るわけではないし、これまで批判されながらもやってきたことは、「人」としては決して間違っていないとは思っている(とでも思わないと、やっていられないということも正直なところだが・・・)。しかし、この点についても、常に自己確認しなければ危険域に思わず踏み込んでしまうかもしれない。メタIyokiyehaを鍛えることも大切だと思っているが、身近にモニタリングをしてくれる人の存在も大きいように思う。
■ちょっとした言葉の使い方。真意をよく知った上で使わないと、思わぬところで誰かを傷つけてしまうことになりかねない。


<講義内容概要>
1.精神疾患とは何ぞや?
 答え:未だにはっきりしないもの。
 専門家でも、「未だによくわかっていない」のが現状。19世紀終わりから20世紀にかけ、クレペリンという人が、精神疾患の分類を試みた。きっかけは「うつ病の診断の一致率が低かった」ことによる。その成果が「操作的診断基準」と呼ばれるもので、現在ではDSM-Ⅳ-TR、ICD-10が用いられる。
 原因が近いものを取りまとめ、病名を分類しているが、臨床的には「境界例」が数え切れないほど報告されており、実際には分類しきれないのが現状。
 また、薬物療法に関しても、抗精神病薬の服用により、ドーパミン受容体を増やしているといった論も提出されており、薬物療法に意味がないとは言わないが、医療だけでは精神疾患からの回復に限界があるかもしれないという状況もある。そこで、専門家の仕事としての医療ケアだけでない「非医療的サポート」という概念が打ち出される。

2.非医療的サポート
 「専門家」だけでない人も、本人のサポートには必要
 「治療しないサポート」とも言われる
 「患者さんが、何をニーズとして求めているのか、側にいて向き合い、声を聞く」ことを通じて、提供されるサポート
 それは、専門家(PSWを含む)が、頭で考えたニーズではなく、自分と本人との「関係の中で聞いた(患者さんの)声」である。本人が、何を訴えようとしているのか、人と人との関係の中で聞こえる「声」を大切にしなければ、非医療的サポートにはなりえない。

3.言葉
(1)障害者 Disabled Person
 日本語では「障害者」と訳される。この場合「人の中に障害がある(障害=人)」という意味になってしまう。
 (例えば、Black Cat(黒い猫)と同様、猫と黒いことは切り離せない)
 以前(日本では、行政用語としては現在も使われている)は、障害を持った人を指して使う言葉であったが、アメリカでは差別用語として扱われる(州公文書でも下記のwithが用いられる)。
(2)障害を持った人 Person with Disabilities
 「障害を持った人」と訳される。まず「人 person」であり、人とは切り離された「障害」を何らかの理由で持ってしまった、というニュアンスが含まれる。当事者による運動(Person First Movement)の結果、アメリカでは州公文書でもこちらの語が用いられる。
(3)リハビリテーション Rehabilitation
 個人は「違う」ことを前提に、尊重する Everyone is Equal.の考え方を内包している。EqualではなくSameになると「全て同質」という意味が強くなり、個性を含む「違い」は認められなくなる。
 リハビリテーションは、「個別支援」で提供される
(「違い」を認めるため)
リハビリテーションの目標は、「リカバリー」
 (一度は失ってしまった、機能、生活、自尊心、人生、を回復すること)
 機能障害の回復には限界があるが、他のものについては「新たな人生の発見」により「回復」することができるとする。

4.障害分類
 要点は、「能力障害」をどう捉えるか
(1)医療モデル
 原因となる疾病により、機能障害が発生し、機能障害が「能力障害」(○○ができない)を生み出すとし、「能力障害」は個人内に存在するものと考え、社会的不利(ハンディキャップ)を克服するために、個人の能力を向上することのみ考える。
 例)乙武氏は、両上下肢の機能に制限があるため、予備校入学を断られた
(2)社会政治モデル(≒エンパワメントモデル)
 「能力障害」は、個人と環境との相互作用の中であらわれるものと考える。つまり、能力障害は、個人内にあるのではなく、個人が環境と接する時に個人の外であらわれるものとして捉えるため、社会的不利の克服には環境調整が大きな役割を果たす。
 例)乙武氏は、両上下肢の機能に制限があるが、K大学は氏の入学にあたり校舎をバリアフリーとしたため、授業を受けることができた。
(3)ICF
 ①従来のICIDH
  疾病または変調 → 機能障害 → 能力障害 → 社会的不利
 ・「障害」に着目し、障害者と健常者を二分した
 (例:足の一部に障害がある人を「足の不自由な人」とした。階段が上れないことを「階段が上れない人」とし、能力障害がその人の中にあると捉えた)
 ②ICF International Classification of Functioning

       健康状態
  ______↑____
  ↓       ↓     ↓
心身機能 ⇔ 活動 ⇔ 参加
身体構造
  ↑____↑____↑
     ↓    ↓
   環境因子  個人因子

ICIDH:機能障害・能力障害・社会的不利
        ∥    ∥    ∥
  ICF:心身機能・ 活動 ・ 参加
      (身体    人   社会:を表す)
 ICFには「障害」など、マイナスイメージの言葉がない。「21世紀型」の分類とされ、個人の病気や機能上の低下があっても、その人と環境が変わることによって、特に双方の接触面(インターフェイス:生活)が改善されることで、活動や社会参加は促進する。
 ・「人はいつか障害を超えるもの」という前提で、健康なところに着目して「人」を見ている
○心身機能・身体構造
 機能障害があるのは、身体の一部であって「人」全てに障害があるわけではない
○活動
 身体の一部に心身機能の低下があっても、その人には活動できる「生活」がある
○参加
 参加があって、社会は生まれる

5.リハビリテーション再考(相互依存)
(1)従来のリハビリテーション
 ①医学リハビリテーション
 ②心理リハビリテーション
 ③社会リハビリテーション
 ④職業リハビリテーション
 これらはいずれも「専門家主導」のサービスであったといえる
(2)これからのリハビリテーション
 専門家に求められるのは「エンパワメント」
 「教育」は本来の意味(本人の潜在能力を引き出す)で実施されるべき
 目指すのは、「エンパワメント」を通じた「トータルリハビリテーション」(全人的復権)
 ・「自立」とは?「孤立」させることではない。
 ・「依存」を含めた(相互依存、相互協力)、本人の「復権」(地域に根付く)を目指す
(3)「超職種」
 治すこと以外を考えた支援
 ≒心理社会的サポート
 服薬や生活支援は必要だが、「復権」を考えるためには、専門家としてではなく「人」としての関わりが不可欠 = 「絆」
 (心・気持ちの通い合う「絆」作り)
 例えば、服薬をとっても以下の段階がある。
 ①コンプライアンス(遵守)
 ②アドヒアランス(本人の意思により服薬しようとする姿勢)
 ③コラボレーション(ともに歩む)
 コラボレーションを目指す。

6.ACT Assertive Community Treatment
 (包括型地域生活支援プログラム・日)
(1)内容
 ①多職種、訪問を主とするチームアプローチ
 ②重い障害を持つ人が対象(従来、退院の対象とならなかった患者)
 ③スタッフ:本人=10:1程度
 ④24時間、365日のケア体制
 ⑤期限なし、On Goingで支援する
(2)歴史
 1950年代 抗精神病薬が開発される
 1960年代 アメリカで脱病院化が進められる
      「ケネディ教書」
     結果:退院者にホームレスが増加
 1972年  ウィスコンシン州で始まる
(3)要点
 「待ち」から「出前」へ
 (Waiting modeからSeeking modeへの切り替え)

2008年8月18日月曜日

串鐵 -くしてつ-

「くしてつ」と読むらしい。

JR高田馬場駅早稲田口正面、名店ビル(だったか?)のB1Fにあるこじんまりとした居酒屋。赤提灯こそないものの、Iyokiyeha好みの店。

タイル張りの厨房と、テーブル数席とカウンター。なんてことはない串焼きの店だけれども、雰囲気がヨイ。酒飲みのためのお店。予算は3,000円もあれば、満足できる。

JR高田馬場でお気に入りができてしまった。

Webページ

http://gourmet.suntory.co.jp/shop/0332004763/index.html

PSW国家試験用 年表

私の国試対策の一環として、ちまちま年表を作ることにしました。
「使いたい!」という奇特な方は、どうぞご利用ください。
転載・配布は自由ですが、間違っているなど、何か問題があったとしても責任は取りませんので、あしからず。

<精神保健福祉関係年表>
(●:法律 ○:重要事項)

●1900年 精神病者監護法
・私宅監置(座敷牢)
・親族の監護義務(現在の「保護者」)
(この頃、呉秀三らの調査がある)
●1919年 精神病院法
・道府県に公立精神科病院の設置を命ずる
(しかし、国の予算は軍備に回される時代で、設置は進まなかった)
●1950年(昭和25年) 精神衛生法
・措置入院制度の整備
・同意入院制度(現在の「医療保護入院」)
・精神衛生鑑定医を設ける
・私宅監置の廃止
(私宅監置を公的監置に置き換え、長期間の隔離が目的)
○1964年 ライシャワー事件
精神障害をもつ19歳の少年が駐日アメリカ大使を刺したことにより、「野放し」となっている精神障害者を「治安的取締りの対象」とする警察庁長官答弁
●1965年(昭和40年) 精神衛生法改正
・保健所を精神保健行政の第一線機関として位置づけ、精神衛生相談員を配置
 ・精神衛生センターを設置
 ・通院医療費の公費負担(2分の1)
 ・措置入院者が離院した時の届出義務
  (治安的要素の濃いものとなり、在宅精神障害者の把握が強調される)
○1969年 Y問題
 精神的に不安定だったY少年を、家族の依頼により公的機関のソーシャルワーカーが警官二人とともに訪問し、入院させた
 ・PSWの倫理だけでなく、精神医療の必要性まで議論される
  (精神科病院があるから、精神病が存在する:不要論)
 ・PSW協会で議論(結果として協会解体、再建)
○1970年 『ルポ精神病棟』
○1984年 宇都宮事件
 入院患者2名が看護職員の暴行により死亡する
●1987年(昭和62年) 精神保健法
 ・任意入院制度が設けられた
 ・国民の精神的健康の保持増進を図ることを目的とする
 ・人権擁護と社会復帰促進が明記された
  (退院・処遇改善請求、精神医療審査会設置の新設)
 ・社会復帰施設(生活訓練施設、授産施設:2類型)
●1993年(平成5年) 精神保健法一部改正、障害者基本法
 (精神保健法改正)
 ・大都市特例(政令指定都市は平成8年から)
 ・保護義務者を「保護者」に変更
 ・グループホームの法定化
 ・社会復帰促進センターの新設
 (障害者基本法)
 ・精神障害者が障害者施策の対象として位置づく
●1995年(平成7年) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)成立
 ・精神障害者の自立と社会経済活動への参加の促進のための援助が加わる
 ・精神障害者保険福祉手帳の創設
 ・通院医療費公費負担制度を保険優先とした
 ・市町村の役割の明確化
 ・精神科病院への「指定医」の必置
 ・社会復帰施設追加(福祉工場、福祉ホーム:4類型)
 ・通院患者リハビリテーション事業の法定化
●1999年(平成11年) 精神保健福祉法改正
 ・地域生活支援センターの法定化
 ・移送制度(法34条)の新設
 ・保護義務の緩和(自傷他害行為防止監督義務が削除)
 ・市町村精神保健福祉業務の実施(居宅支援事業等・平成14年から)
●2002年(平成14年) 精神保健福祉方改正
 ・市町村精神保健福祉業務開始(居宅支援事業等)
 ・政令指定都市に精神保健福祉センター設置義務化
 ・精神保健福祉センターへ「通院医療費公費負担制度」「精神保健福祉手帳制度」審査事務移管(精神保健福祉センターが権限を伴う行政機関となる)
●2005年(平成17年) 精神保健福祉法改正、障害者自立支援法成立
 ・精神分裂病から「統合失調症」に診断名変更
 ・手帳制度の改正(写真添付)
 ・通院医療費公費負担制度、社会復帰施設関連事項の「障害者自立支援法」への統合
  (自立支援医療、地域生活支援事業)
 ・任意入院患者の適性処遇(定期病状報告書の提出を求めることができる(条例が前提))
 ・地方精神保健福祉審議会の必置性の緩和
  (条例を定め、他の医療保健審議会と合流させる、名称設定の柔軟化)

精神保健福祉士スクーリング(3日目)精神保健福祉論(Ⅲ)

3日目。
少し疲れも出てきた。
この高校生みたいな生活は、心身ともに疲れることに気づく。
勉強って体力が必要だなぁ。
高校生って、すごいね。

講義を受けて考えたことは、以下の通り。
■以前から「ストレングスstrength」は、静的なものではなく可能性を含む動的なもの(本人を行動に駆り立てる「意欲」など)を含む概念ではないかと思っていたが、「潜在能力」を含むICFに基づく概念であることが確認できた。Iyokiyehaの仮説は当たらずとも遠からじといったところだろう。
■職場の支援の中では、時々使っている考え方だが、「知覚-認識-行動」のそれぞれの間には、それぞれを連動させるものがある。「能力」なのか、「神経」なのかわからないが、「知覚」「認識」「行動」の関係を厳密に示すと「(環境―◎―)知覚―○―認識―●―行動」となる。Iyokiyehaは仕事柄、「行動で評価」しているが、行動に至る流れを前述のように示すのであれば、○でつまずいているのか、●でつまずいているのかによって、同じ「行動」が表れても意味が変わってくる(◎は、聴覚障害者や視覚障害者、発達障害者など、感覚機能の障害により、情報そのものを感じる段階)。今日の講師が「精神障害者は嘘つかないよ、うまく言えないだけだ」と言ったことが、すごく響いた。確かに、私が今まで「虚言癖」と評価していた人の中には、それが「上手く言えなかった」だけの人もいるかもしれない。というか、ひょっとしたら人格域と診断される人の多くが、●の流れが「非常に」うまくいっていないのかもしれない。これはIyokiyeha仮説です。
仮説だけれども、例えばこの図で、身体障害者の一部は◎、知的障害者は○、発達障害者は◎と●、精神障害者は●(認知機能であれば○が追加)が課題となるのかもしれない。乱暴な整理だけれども、意外とわかりやすいかも。
■職業リハビリテーションにおいても、「ストレングス」は強調されるが、実際の業務の中では、それが活かしきれていないようにも思う。もちろん、ワーカーとIyokiyehaの仕事は、厳密には立ち位置が違うし、業務評価やら制度やら財源やらで、がんじがらめにされていることが原因であるように言われることもあるけれど、しかし、それが全てか?というと、個人的にはマンパワーにも課題はあると思う。もちろん、Iyokiyeha自身を含めてではあるけれども、職業リハビリテーションを構成する一人一人が、意識して視野を広げて、知恵を使うことを意識しなければ、考え方は硬直化してしまうように感じる。制度上の縛りを積極的に破ることをよしとするわけではないが、確かな実績を作って然るべきところに提案するだけの力は、つけておきたいものである
■ソーシャルワーカーの立場も、職業リハビリテーションの立場も、クライアントに対する態度に大差はないと思う。本人ニーズに基づく支援を実施する点では同じといえる。ただし、就労支援を考える時に大切なのは、ニーズが本人だけでなく、事業所からも同様に示されることだ。
■職業リハビリテーションを含む就労支援を考える時に、よく「本人側に立つか、事業所側に立つか」という選択肢が提示されるが、これについても今後考えなければならない。本人―――事業所と、よく単一軸で示され、そのどこに支援者が立つかという議論がされるのだが、本人と事業所の間にあるのは「事業所の作り出した環境」であり、就労支援とはこの意味の「環境」に本人が適応できるか否かというところが核となる。この「環境」はもちろん、事業所の「ニーズ」によって形成されるものであり、本人の配慮「ニーズ」は、「環境」の変化可能域内でのみ意味を成す(範囲外であれば「環境」に入ることが許されない=雇用されない)。


1.ストレングスモデル
(1)従来のソーシャルワーク
 精神障害者を世間から排除しようとする背景があった。パレンス・パトリエ(国親)の考え方(みんながやろうとしないから、国が法に基づいて支援する)に基づき、ソーシャルワークの概念が生まれる。
 伝統的医学モデルによる、パタナリズム(父権的温情主義 例:退院してもロクなことがないからずっと病院にいなさい)が問題視される。クライアントを「能力なし、無力」と捉えがちな考え方。

(2)ストレングスモデルの概要と要点
 伝統的医学モデルの対立概念として提出される。原則は6点、ケアマネジメントから生まれたもの(注:ケアマネジメント(英)「支援(ケア)」を何とかする。ケースマネジメント(米)「個人(ケース)」を何とかする。視点・立場に違いがある)。
・ストレングスモデルによるケースマネジメントの原則
 ①精神障害者は回復し、彼等の生活を改善し質を高めることができる
※②焦点は病理でなく個人の強さである
※③地域は資源のオアシスとしてとらえる
 ④クライアントは支援プロセスの監督者である
 ⑤ケースマネージャーとクライアントの関係が根本であり本質である
 ⑥我々の仕事の場所は地域である
(※印の二つが核となる)
重要なのは、考え方や資源をRe-framing(リフレイミング:再構成)すること。

(3)ストレングスの要素(空間、個人、環境)
 ①生活空間(Niche:生存適所)
  個人の勝手ができる空間を作り出す
 (空間の質が生活の質を決定する)
 ②人々の側の条件-個人の強さstrength
  -願望(目標と夢がある)
  -能力(願望を達成するために、彼らの強さを用いている)
  -自信(目標に向かって次の段階に移る自信を持っている)
  -潜在能力
  -希望
     など
 ③環境の側の条件-環境の強さ
  -資源(目標達成に必要な社会資源への接近方法を持っている)
  -社会関係(少なくとも一人の人との意味ある関係を持っている)
  -機会(目標に関連した機会への接近方法を持っている)
 ④その他
  -エコロジカル視点(人と状況の全体性に着目)
  -ノーマライゼーションの実現
  -回復(リカバリー)
 これら①②③④を通して、クライアントを権利主体者とし、エンパワメントenpowermentしていくのが、「ストレングスモデル」に基づくソーシャルワークであるとする

2.コミュニティ・ソーシャル・ワーク(Community social work)
 「コミュニティワーク」は、「地域援助技術」と訳される。大橋謙策氏が提唱する「コミュニティ・ソーシャル・ワーク」とは、大橋氏が理想とする「ジュネリック・ソーシャルワーク(一人でいろいろな支援(ケース、グループ、コミュニティ)を実施するソーシャルワーク)を基盤に、本人の主体性を尊重し、「生活者」支援を実施するソーシャルワーク。
 アメリカの徹底した分業主義による「ケースワーク」の対立概念として提唱される。