2025年3月22日土曜日

ジル・チャン著、神崎朗子訳『「静かな人」の戦略書 -騒がしすぎるこの世界で内向的が静かな力を発揮する法』ダイヤモンド社、2022年。

  いろんなリーダーシップ論が紹介される昨今ですが、なんだか読んでほっとする一冊に出会えたような気がしました。「自分にぴったり」と言ったら、著者に失礼ではあるのですが、とはいえ自分が悩みながら人を率いて仕事をしてきたことに、一つの裏付けができたような気がして、とても励みになる一冊でした。

 所管業務を理解した上で、正しい、よりよい判断を下す、そんなリーダーが求められているのはなんとなく感じてます。ただ、職場での立ち位置が上がり、今の職場のように異動に伴い仕事ががらりと変わる環境では、そういったリーダースキルを発揮できる人はよほど優秀な、ほんの一握りの人だけなんだろう。少なくとも、そうしたスキルを求められたら、私のリーダーとしての評価はよくてC(合格ギリギリか、もう少し足りないくらい)だろう。今の担当業務のように、正確さを求められる法律業務なんかやっていると、そもそも勉強偏差値の低い私には、やっぱり無理だって。

 結局そんな中でできることって、法律の主旨とか所管業務の目的をおさえて磨いて、日々持ち込まれる問題や相談に、筋で考えて判断していくしかないわけで。業務の正確とかやり方を知ることで、より正確な判断ができるようになっていくと。すでに業務を行っていて詳しい人に教えてもらいながら、立ち位置を少し替えて「それが間違っていないか」「もっとよくなる方法はないか」と共に考えていくしかないと思うのです。

 それに加えて、人からどう見られるかは考えずに言えば、私は本書で言うところの外交的な人間ではなく、むしろ内向的な人間に分類されると思うわけで。この手の性格診断は、信頼性がどうか、ということを差し引いても、いくつかやってみた結果が一つも外向にはならないんです。大分類として「私は内向的ですよ」と言って「全くのウソ」と言い切る根拠はないわけで。そうなると、本著で語られる内向的リーダーの性質や行動、その対策やよりよくなるための助言というのは、私にとってとても有益なものでした。

 なにより「今の自分でだいたいよかった。もっとよくする方法はある」と感じることができた一冊だということが、私にとって役に立つ本でした。