Iyokiyehaの日記
日々起こること、考えること、読んだ本のことを、自由に書いています。
2025年4月5日土曜日
SNSって何だろうなって思う
2025年3月22日土曜日
Audiobookを中心に、最近聞いたり読んだりしたもの
○池田晶子『14歳の君へ -どう考えどう生きるか』毎日新聞出版、2006年。
○セルバンテス著、牛島信明訳『ドン・キホーテ(前編1)』岩波書店、Audiobook版。
○アレクサンドル・デュマ著、山内義雄訳『モンテ・クリスト伯〈1〉~〈2〉』岩波書店、Audiobook版。
○佐々木常夫『40歳を過ぎたら、働き方を変えなさい』文藝社、Audiobook版。
自分でやろうとしない。チームを含め、人の力を借りて組み合わせられることが、成果を出す一つの在り方。
○ジェリー・ミンチントン著、弓場隆訳『うまくいっている人の考え方 完全版』ディスカヴァー・トゥエンティワン、Audiobook版。
自分の気持ちに正直になること。周囲の意見をきちんと確認すること。余計なことまでは確定しないこと、ほとんどのことは、自らの思い込みが作り上げてしまう幻想。
○宮島未奈『婚活マエストロ』文藝春秋、Audiobook版。
○精神科医Tomy『精神科医Tomyの気にしない力 -たいていの心配は的外れよ』大和書房、Audiobook版
志駕晃『スマホを落としただけなのに』宝島社文庫、Audiobook版。
映画化もされていたと記憶していますが、現代版ホラー小説として、すごい。身近なツールがこんな風に乗っ取られ(る可能性があっ)て強請られるんだな、と、そこは素直に怖かった。シリアルキラーの行動も不気味で怖いし、終盤のどんでん返し(というか「えーっ」と思わせられる種明かし、が更に気持ち悪さを重ねてくれます。聴いていて楽しいものではないのだけれども、とにかく興味をそそられる内容で、一気に聴き通してしまいました。こわいこわい。
辻村深月『かがみの孤城』ポプラ社、2017年、Kindle版。
中学性が抱える悩みや、論理的には矛盾しているように見える感情の描写が、これでもかと明確に伝わってくる小説。
中学生になってから、クラスメートから受けた過剰な働きかけがきっかけで不登校になってしまったこころ。突然輝きだした自宅の鏡に手を伸ばすと・・・そこには現実離れした城、そしてオオガミさま、様々な事情で学校に行きたくても行けない中学生達が集められて、物語は展開していきます。
人との関わりを大切にしつつ、周りに流されず、自分を大切にする選択について考えさせられるとともに、仲間達の背景が明らかになってくると、思わぬ事実が見えてきて、みんなが戻る現実世界での生き方に、少しずつ変化が生じてくる。
辻村さんの文章って、すごくわかりやすいだけじゃなくて、見えないものをそっと見える形にするというか、「なんでそんなことも表現できるの?」ということを、すっとわかりやすい言葉を沿えて置いてくる感じがあります。じゃあ、その内容が複雑怪奇なのか?というと、そうじゃなくて、身近な人がそう思っているかもしれない、そう考えているかも知れないような、表現をするとなると陳腐になるかわかりにくくなりそうなことを、非常にクリアに明確にしてくれる。で、物語だって、終盤にかけて、宝箱が次々と開いていくかのように、序盤から随所に置かれてきた伏線が、全て回収されていくような、読書スピードが前半と後半とで全然変わってくる感覚がありました。小説として、私好みだし、いろんな人に勧めたい、こどもたちにも勧めたい1冊でした。
岸見一郎『アドラー 人生を生き抜く心理学』NHK出版、Audiobook版
アドラー心理学って「嫌われる勇気」が、もう10年くらい前に流行った時に知って、ベストセラーを読んだ程度で、身につけるまで読み込んでいない状態が続いているのだけれども、「原因ではなく、目的に着目する」姿勢は、援助業務の中でも使うことがある。原因思考でどうしようもないとき、一般的な原因思考から進めようとするときのツッコミに、視野を広げたり、突破口を探すのに、多分以前読んだ考え方って生きているのだと思う。
本書は、アドラーの著書(訳書)の主な主張となる部分を抜粋して、その意味や実際の活かし方、みたいなことを解説している。アドラー研究で有名な岸見氏が、その膨大な知識を整理して語ってくれているので、ブームに成ったときに聞きかじったような、私程度の興味でも充分参考になる内容だと思うが、初習者だとこの内容には面食らうかもしれないな、と思って聴いていました。
神山理子(リコピン)『女子大生、オナホを売る。』実業之日本社、Audiobook版。
書名と表紙イラストがキャッチーなこともあって、一時期話題になっていましたが、内容はマーケティングの実践書。Iyokiyehaは商売はしないのだけれども、市場調査をするときには「できる範囲で、聴き取りをおこなうこと」と、顕在しているニーズだけでなく、潜在ニーズを読み取る努力を怠らないよう、進めていくことが肝要だということ。値段の付け方一つをとっても、そこには考えがあり、手探りでやるわけではない。もちろん、そこで視野を外していたら、進退含めてふりかえっているし、確実なことと、はっきりしなくても仮説を必ず立てて、都度検証している。何かプロジェクトを進める時には、少なからず、こうした確認と検証をセットで行うことについて、イメージができていく。そういうことが響く人とはきちんとつながり、何かあれば相談する必要があるのだろう。
森功『地面師 -他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団』講談社、Audiobook版。
Netflixで話題になっていたドラマ『地面師たち』。第一話を見て、ハリソン(豊川悦司)の演技がすごすぎて、それに加えて、人が死ぬ描写がすごすぎて、万が一にも子どもには見せたくない、と判断し、そのままになってしまっているもの。多分、私はこのまま観ないんじゃないかな。
原作というかモチーフとなっている本のようだけれども、その内容はルポルタージュのような、「地面師」と呼ばれる、戦後からその存在が見え隠れしている詐欺集団(チーム)の活動を調べ上げているもの。正直なところ、土地の売買に明るくない私にとっては、その内容の巧妙さは読み解けないのだけれども、とはいえ、いわゆる詐欺の内実を知るにつれ、その手腕というか人たらしの技能というか、そういうことについて見習いたくはないけれども、どのようにして学習したのか、身につけたのか、ということは気になる。相手を意のままに動かすには、やはり準備9割、現場1割なのだが、その1割の部分だって、自分のように法制度を根拠に戦えるわけではないなかで、どのように「成功」を収めているのか、そのてんについては本書では読み解けていないのか、取り上げられていないのか、測りかねるところはある。
とはいえ、読んで(聴いて)いて、そんなに気分のいい内容ではない。しかしながら、日本における裏社会の一旦をのぞくことのできる一冊だと思う。
佐藤純『「雨ダルさん」の本 ー「雨の日、なんだか調子悪い」がスーッと消える』わかさ出版、2021年。
Iyokiyehaはいわゆる偏頭痛持ちで、かれこれ30年以上の付き合いだったりする古参です。薬もいろいろ試しながら、働き始めてからはおそらく偏頭痛やその周辺の体調不良と付き合ってきた人です。そんな自分が、数年前から「天気痛」という言葉が聞こえるようになり、天気痛≒偏頭痛であるらしいことまで突き止めたところで、長女も似たような症状があるとかないとか。妻から参考に買って欲しいと頼まれ、私も読みたいと思っていたのだけれども、娘の書棚に埋もれてしばらく読めなかった一冊。
とても具体的な対策と、説明が一般向け平易にまとめられており、今からできる対策が抱負に盛り込まれています。くるくる耳マッサージは、習慣化することを勧められてはいますが、ゆっくりじっくりやってみると、即効性も感じられ、何より心地いい。タオル体操もやっぱり気持ちがいい。ツボはぐりぐりじゃなくて、時々じんわりと刺激することによって効果的になる。いずれも耳付近を暖めて、血行を良くするためのものだというシンプルな理屈で考案されているので、いつでもどこでもできそうなものが紹介されているのがいい。
早速、今日から試してみよう。
ちきりん『自分のアタマで考えよう!』ダイヤモンド社、Audiobook版。
とっても基本的なこと。ある事象に対して安易に反応しないこと。背景を知ること、比べること、自分の頭で考えること、反対意見を知ること。あたりまえのことなんだけど、「これがいい」と思うと、ついつい視野が狭くなってしまうことを改めて自覚した。昨今は、そうした言説が、フィルターを通らずにWebにアップされてしまうから、そうしたものをいくつか読んで「分かった気になってしまう」のが、考えることをやめてしまう一助になっているようにも思う。
もちろん、様々なことを横断的に考える、比べるためには確かな教養が必要となるため、そうした学習は常に必要なのだと思うが、何をどこまでやったら充分ということはない。今あるものに、とりあえず必要なものを取り入れて、とにかく常に考える、何らかの結論を出す、その結論を検証する、ということを不断に行うことが考え続けることなのだと、シンプルに確認できた本でした。
小川糸『ライオンのおやつ』ポプラ社、Audiobook版。→Kindle版へ。ポプラ社、2019年。
これは、ノーマークで聴いた小説でしたが、よかった。本当によかった。
病に冒され、ホスピスで生活することになる雫さん。なんというか、否認から肯定へ、死にゆく人の感情なんて、どうして小説にできるのか、そういう疑問すら浮かんでくるような、本来すさまじい感情の渦を、新しい出会いや食物や生活、サービスの価値や本質に触れることで気づいていくような仮定を、静かに、落ち着いて、淡々と、熱く激しい感情を包み込んで許していくような小説でした。もう一度読みたい。
読んでみた。聴くのとは違う感覚だけれども、文書ににじみ出る人の感情の繊細でいて微妙なことも、文字と行間で発しているようにも思える。人が、何かに気づき、その人が代わっていく、言葉にすると陳腐な表現になるけれども、実際に自分が変わっていく様子を記述するなら、理想的にはこういう書き方になるのだろうな、と思える表現がちりばめられている。その言葉遣いに、素直に脱帽した一冊でした。
堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ』岩波書店、Audiobook版。
アメリカにおける貧困は、日本のそれとは規模と質が異なる。福祉の世界に身を置いていると「だから日本はダメ」とか「アメリカだと○○らしい」という嘘か真か分からないような情報が飛び交うこともあるのだが、和をもって尊しとする日本と、ゴリゴリ資本主義国家のアメリカとは、政策の内容に差がある。アメリカでは採用において障害を差別としない、とは言われることだけれども、その代わりと言っては何だが、男女の差別や、人種差別、国民であるかそうでないかによって、線を引いて明らかに身内とは異なる対応をするのもアメリカだと言われている。
本書を読んでいて気になったのは、私の視点では「ありえないでしょ?」と思えるようなことを、施策として展開していること。貧困層への食料支援に、炭水化物中心のものを配布するとか、戦争をモチーフにしたテレビゲームに自国を称揚するような内容を組み込み、その上で、軍隊に入隊することを、教育機関と接続して宣伝する、など。この点、日本とは全く雰囲気が異なるのだと思うが、「お金を稼ぐために、軍隊に入隊する」という雰囲気がすでに広がっている。そこに、本来の意味での愛国心や、国民を守るんだといった、公益性の高い仕事に就くことへのプライドや、本質を考える、ということが、一部で後退した結果が、アメリカ社会の影の部分として、確かに存在しているように思える。
ヘンリー・キムジーハウス、キャレン・キムジーハウス、フィル・サンダール、ローラ・ウィットワース著、CTIジャパン訳『コーチング・バイブル:人の潜在力を引き出す協働的コミュニケーション』東洋経済新報社、Audiobook版。
コーチとクライアントの双方が、積極的に協力し合いながら関係を築き、クライアントに本質的な変化を呼び起こす「コーアクティブ・コーチング」の手法を、対話例も交えて解説するもの(詳細より)。
コーチングの技術を、心構えから傾聴の段階、フィードバックの技術まで、その具体的な方法と背景を説明した一冊だと思った。具体と思想とを行き来する内容で、大変参考になる本だと思った。購入候補に加える。
辻村深月『あなたの言葉を』毎日新聞出版社、2024年、Kindle版。
辻村氏は毎日小学生新聞の週別連載を担当されています。本書はその連載をまとめたもの。こどもへの贈り物にどうかなと思い、手に取る。結果、辻村氏の小説の一つでも読んだ上で贈り物にしたいと感じ、一年延期。
小学生新聞の連載なので、表現は大変平易でありながら、自分と向き合ったり、本音を柔らかく解きほぐしたりと、小説家ならではの表現力なのか、辻村氏の思考の深さなのか、あるいはその双方を含めてか。何気ない日常の一部から、「そうそう、そうだよね」と大人も思うような、そんなエッセイで充ちている。どれもが優しく、それでいて深い。何か見透かされている感じすらしてしまうが、それでもやさしい。すごいな、このエッセイ。
こどもならではの言動にも着目していて、一見大人としては不可解な言動も「自分も子どもの頃そうでした」という風に解説が入る。なるほど、自分にもそういう言動あったかもしれない、と思い出したり、あぁ子どもらの言動はそういう背景があるのか、と気づいたり。何度も書くが、批判っぽい表現はほとんどなく、どこまでも優しく「そうだよね」と語りかけてくる。これは新しい感覚だ。子ども向けなんてもったいない、とすら感じてしまう。
ジル・チャン著、神崎朗子訳『「静かな人」の戦略書 -騒がしすぎるこの世界で内向的が静かな力を発揮する法』ダイヤモンド社、2022年。
いろんなリーダーシップ論が紹介される昨今ですが、なんだか読んでほっとする一冊に出会えたような気がしました。「自分にぴったり」と言ったら、著者に失礼ではあるのですが、とはいえ自分が悩みながら人を率いて仕事をしてきたことに、一つの裏付けができたような気がして、とても励みになる一冊でした。
所管業務を理解した上で、正しい、よりよい判断を下す、そんなリーダーが求められているのはなんとなく感じてます。ただ、職場での立ち位置が上がり、今の職場のように異動に伴い仕事ががらりと変わる環境では、そういったリーダースキルを発揮できる人はよほど優秀な、ほんの一握りの人だけなんだろう。少なくとも、そうしたスキルを求められたら、私のリーダーとしての評価はよくてC(合格ギリギリか、もう少し足りないくらい)だろう。今の担当業務のように、正確さを求められる法律業務なんかやっていると、そもそも勉強偏差値の低い私には、やっぱり無理だって。
結局そんな中でできることって、法律の主旨とか所管業務の目的をおさえて磨いて、日々持ち込まれる問題や相談に、筋で考えて判断していくしかないわけで。業務の正確とかやり方を知ることで、より正確な判断ができるようになっていくと。すでに業務を行っていて詳しい人に教えてもらいながら、立ち位置を少し替えて「それが間違っていないか」「もっとよくなる方法はないか」と共に考えていくしかないと思うのです。
それに加えて、人からどう見られるかは考えずに言えば、私は本書で言うところの外交的な人間ではなく、むしろ内向的な人間に分類されると思うわけで。この手の性格診断は、信頼性がどうか、ということを差し引いても、いくつかやってみた結果が一つも外向にはならないんです。大分類として「私は内向的ですよ」と言って「全くのウソ」と言い切る根拠はないわけで。そうなると、本著で語られる内向的リーダーの性質や行動、その対策やよりよくなるための助言というのは、私にとってとても有益なものでした。
なにより「今の自分でだいたいよかった。もっとよくする方法はある」と感じることができた一冊だということが、私にとって役に立つ本でした。