6日目。
現役医師による講義。
第一線の医師から、めちゃくちゃ内容の濃い話が聞けた。
昨日同様、やはり知識の整理と、今後の勉強のためのハシゴをかけてもらうような内容ではあったが、普段触れることのない医療の内容(人の身体のしくみと働きかけの内容)についての講義だった。
昨日と同じように、率直に「考える暇のない」講義だったので、現時点(内容のまとめはじめの今)思索が深まるものではなかったため、「考えたこと」は省略する。一つだけ強く感じたのは、医学情報は大袈裟ではなく「5年で新しくなる」ものであるため、常に情報を更新する必要があるということ。新薬の情報や、医学的な成果は、新聞にそれほど大きく掲載されないため、「無理のない範囲で」自分なりの情報源をもたなければならないと思う。
<講義内容概要>
1.精神医学基礎
(1)勉強する上での注意点
①「医学用語」の意味
「医学用語」は、「日常用語」、そして「心理学用語」と、それぞれに共通する言葉を使いながらも、その意味するところが違うことも多い。医学的に用いられる場合の「定義」をきちんと確認する。
②Web情報
学会および公文書(厚生労働省など)といった内容と、それ以外のものとでは信憑性の部分で差があるため、注意する。
(2)入院の形式(レポート講評)
精神保健福祉法において、入院形態が定められているが、それぞれについて精神科医がどんな判断をしているか理解することが重要。
①医療保護入院
医師は、「本人の病識の有無」を判断する。
-検討の三点セット(患者、保護者(法的)、指定医)
病院勤務時、その時点で指定医が不在の場合は安易に救急患者を受けない
②措置入院
医師は、「本人に自傷他害の恐れがあるかどうか」を判断する。
③応急入院
医師は、「②に加え、保護者がいても同意できる状態にあるか」を判断する。
※ちなみに、Iyokiyehaが前回提出したレポートは、無事にパスしました。コメントをくれた皆様、ありがとうございました。
(3)精神疾患の分類
①内因性(身体因性)
障害の原因を「身体」(脳の機能的障害)に求める
-統合失調症
-躁うつ病(気分障害)
②外因性
障害の原因を「身体」(外的要因の脳への侵襲、脳以外の身体疾患が原因)に求める
-器質性精神病(脳に「何か」がある)
脳腫瘍、脳外傷、脳炎、神経梅毒、てんかん
-症状精神病(別の身体疾患が原因)
感染症、膠原病、内分泌代謝疾患
③心因性
障害の原因を「精神的なもの」に求める
-神経症(身体要因がないもの)
-心身症(身体要因(原因疾患:胃潰瘍など)があるもの)
―――
④人格障害
発達そのものの異常(①②③が、理由により正常発達が阻害されるのに対する分類)
-境界性人格障害
-自己愛性人格障害
(4)その他
「不安」と「恐怖」の違い
①不安
対象がはっきりしない、漠然としたおそれ
アプローチ:情報を整理して、対象を明確にする
②恐怖
対象のはっきりしたものに対するおそれ
アプローチ:認知を切り替えて処理する。環境を調整する。
2.統合失調症
統合失調症とは、思考内容・思考形式の障害
(1)疫学
①頻度:人口の1%程度
②年齢:15~35歳がほとんど
③病因:多因子遺伝、脆弱性-ストレスモデル、神経科学的研究、ドーパミン仮説
(これらに限定されていない)
-ドーパミン仮説(メモ参照)
ドーパミンが過剰に放出され不必要な情報まで伝達してしまう
(2)分類(統合失調症・分裂病)
①破瓜型:10~20代、予後・不良
陰性症状主体、慢性の経過(パーソナリティの障害)をたどる
②緊張型:若年、急性発症、ほぼ寛解だが周期性あり
緊張病性興奮、緊張病性昏迷
③妄想型:30代、予後・ある程度は維持
被害妄想(体系化される)
④単純型:緩徐進行、予後・軽度不良
陰性症状中心、幻覚はない、パーソナリティの貧困化
(3)症状(略)
(4)診断
①病歴聴取
②面接・行動観察
-プレコックス感(重いものを知っておくべき)
③精神症状
-シュナイダーの一級症状(略)
(5)治療
①抗精神病薬
-ドーパミンレセプタをブロックする
②生活療法
③作業療法
④電気ショック
⑤その他(アフターケア:デイケア、SSTなど)
(続く)