○就労に基づく総合アセスメント
・IPSでは、クライアントにとって適切な労働環境に関する構想を練り上げていくための具体的な情報収集に力点を置く
(標準化された検査などの、従来のアセスメント方法にはこだわらない)
就労過程におけるアセスメント段階の目標は、クライアントにもっともよく合った仕事を得る手助けをするために、
1)クライアントが何をしたいのか
2)クライアントはストレングスや技能、興味、経験に関してどんな人物か
を理解すること。
■職業プロフィール
1)職業上の目標
-クライアントの職業上の目標と仕事に対する人生の夢
-クライアントの短期の職業上の目標
2)職業上の経歴
-職歴・学歴・教育歴・訓練歴
-(職歴から)退職理由、プラス体験、仕事上の問題点
3)現在の適応
-障害情報(診断名、症状、注意サイン、対処法)
-服薬管理と副作用
-身体的側面(健康、耐久力)
-社会的側面(身だしなみ、対人技能)
-支援体制
4)職業上の技能
-求職活動上の技能(求人検索、応募、面接など)
-特定の職業上の技能(資格や経験など)
-能力、適性(これまでの経緯から)
-興味(職業および職業以外)
-動機
-労働習慣(出勤、信頼感・信頼性、ストレス耐性など)
5)その他、仕事に関連する要素
-通勤手段
-家族や友人からのサポート
-現在の生活環境(居住形態、同居人)
-物質乱用
-犯罪歴
-障害の開示に対する態度
-就労に関わる個人的・経済的・社会的利益に関する期待
-金銭管理技能
-収入と給付(社会保障、医療保険、住宅手当など:障害基礎年金、生活保護)
-日常生活
-頻繁に連絡を取る相手
-家族の職歴
-職場環境、職務のタイプ、労働時間(日・週)、賃金
-本人確認書類(障害者手帳など)
6)求職活動に関わる連絡網
-家族、友人、近隣住民
-以前の事業主
-学校や訓練機関の教師
-地域の連絡先
IPSでは、職業的アセスメントに終わりはない。
通常の職業経験に基づいて行われる手続き。継続するものであり、このことが成長と学習の過程であることを、関与する全ての人に伝えるメッセージ。
職業的アセスメントの最良の形態は、クライアントが地域において通常の仕事をどのようにこなしているかが、極めてシンプルにわかるようなもの。
クライアントは、継続して「労働者としての自分自身」について学習する。
就労支援スペシャリストは、仕事に関する情報をできる限り多く集める。
職場を訪問した時には、就労場所を見学させてくれるよう依頼する。
クライアントのために調査している仕事全てに関して、必要とされる技能と能力を精査する。(身体的に求められる条件は?デスクワーク?知的能力が必要か?社会的交流の頻度?等)
援助チームは、クライアントにマッチングする職業を得られるようクライアントを勇気づける。
症状が悪化し、仕事の一部に支障が生ずる場合もあるが、それはクライアントが働くことを辞めなければならないことを意味するのではない(働くことが症状の悪化の対処に役立つこともある)
就労中に症状が悪化した場合に、どのように対処するかについて、事前にプランを練っておくべき。
○個別就労計画
就労計画は一連の行動で構成され、クライアントの目標、目標達成のためのステップ、各ステップの責任者、各ステップの時期などが含まれる。
一般的なプランは、以下の4つの部分から構成される
1)クライアント自身の言葉による、職業上の目標(長期・短期)。
2)クライアントが目標を達成する方法を記載した行動目標のリスト。
(経験がない場合は、第一段階を補助業務、第二段階を訓練プログラム、など)
3)クライアントの目標達成を支援する人の名前、サービスやサポート。
(クライアントの目標達成のタイムスケジュールも記載する)
4)就労計画は、クライアント、就労支援スペシャリスト、精神科医他、支援に携わる人が署名する。
クライアント個々に作成されたプランが適切なプランと言える。
例えば、
-クライアントの就労目標は具体的に何か?
-プランの作成に職業プロフィールが使われたか?
-クライアントはどの程度その目標を達成する意志があるか?
こうしたことについて、明快で具体的な内容を提示する。
○月間経過記録
経過を文章化したもので、プランの過程を進める一助となると共に、クライアントの記録を使用する他の支援サービス提供者に対し、情報を提供するのに役立つ。
-援助チームが方向性を見失いそうになったとき、職業プロフィールと就労計画を見直すよう促すのが望ましい